少年漫画・その他」カテゴリーアーカイブ

西の善き魔女 Good Witch of the West

荻原規子による西の善き魔女の小説と、桃川春日子の作画によるコミックの英語版です。著者名に作画担当の桃川春日子(Haruhiko Momokawa)の名がある方がコミックで全7巻です。

西の善き魔女 Good Witch of the West 英語版ライトノベル&コミック

西の善き魔女 日本語オリジナル版

西の善き魔女 英語版

少女むけとしては王道な感じのファンタジー作品ですね。辺境の村で普通に育った15歳の少女・フィリエルが、実はかつて失踪した王女の娘だと知って冒険に出るお話です。設定としては少々ありがちな感じもしますが、そこからさまざまな要素を取り入れて話を膨らまし、海外の名作ファンタジーにも引けをとらない世界観を構築しています。

日本語版の小説の方は本編全5巻 + 外伝全3巻、コミックが本編全7巻 + 現在外伝が連載中です。英語版はいまのところ小説の方が2巻まで、コミックが6巻まで英訳されて発売されています。しかし英語版の出版社である Tokyopop が2011年5月をもって翻訳出版事業から撤退してしまったために、残念ながら続きの発売は未定となってしまいました。どこか別の出版社が続きをリリースしてくれるとよいのですが、いまのところその予定はありません。

時をかける少女 A Girl Who Leapt Through Time

筒井康隆による名作小説の時をかける少女の英語版と、ツガノガクによる漫画版の英語版コミックです。女性の写真が表紙の方が小説で、かわいらしい少女のイラストの表紙の方が漫画版ですね。

時をかける少女 A Girl Who Leapt Through Time 英語版ライトノベル&コミック

時をかける少女 日本語オリジナル小説・コミック

時をかける少女 英語版

この作品が発表された時代にはライトノベルという言葉はまだなくて、比較的若い人むけの小説作品は “ジュブナイル” と呼ばれていました。その日本のジュブナイル小説の代表作ともいえる作品がこの時をかける少女ですね。

時をかける少女といえば私の世代のほとんどの人は1983年に公開された原田知世主演による映画を思い出されると思いますが、なんとこの作品はその後でさらに実写映画が2回つくられ、アニメ映画が作られ、テレビドラマにいたっては4回も製作されているという怪物作品です。漫画も今回紹介しているツガノガク氏によるコミックの他にも、琴音らんまる氏や橋口みのる氏によって漫画化されていますね。

さてどうせ英語版を読むのならば、ぜひ原作小説の英語版の読破にチャレンジしていただきたいと思います。英語で本を読むことに慣れていない方にはかなり難しいと思いますが、日本語版と一緒に買い揃えて少しづつ内容を理解しながら読めば不可能というほどでもありません。何度くりかえし読んでも飽きることのない面白い作品ですから、英語で何度も読むことによって英文読解のスピードを向上させることができます。他に好きなライトノベル作品があればそちらの英語版で学ばれた方が良いと思いますが、とくに好きな作品がないという方にはこの作品を私はおすすめします。

ギミック! Gimmick!

ヤングジャンプで連載されていた原作:金成陽三郎、作画:薮口黒子によるギミック!の英語版コミックです。全9巻。

ギミック! Gimmick! 英語版コミック

ギミック! 日本語オリジナル版

ギミック! 英語版

映画やドラマなどで使用される特殊メイク(SFX:Special Effectsの略)に焦点をあたてとても珍しい作品です。魔法のような効果があるにもかかわらず魔法ではなく、きちんとリアリズムにのっとった話の展開は読んでいて独特の面白さがありますね。主人公の永瀬公平はスケベでお調子者だがSFXの腕は超一流、そんな公平がその技術をいかして数々の事件を解決する物語です。

この作品は日本ではそれほど人気とはなりませんでしたが、海外のレビューサイトでかなり高い評価を得ています。さすが本場ハリウッドがあるアメリカといいましょうか、SFXに興味のある人が多いんでしょうね。

特殊メイクに関する解説もあって専門用語を英語で読むのは難しいかも知れません。それだけに読み応えもあるので中級者以上の方におすすめします。

妄想少女オタク系 Fujoshi Rumi

コミックハイ!で連載されていた紺條夏生による、妄想少女オタク系の英語版コミックです。全7巻。

妄想少女オタク系 Fujoshi Rumi 英語版コミック

妄想少女オタク系 日本語オリジナル版

妄想少女オタク系 英語版

ボーイズラブ妄想が好きで好きでしょうがない腐女子・浅井留美を中心に物語は展開します。留美が腐女子であることを知らずに告白をして付き合うこととなった阿部隆弘、しかし留美は隆弘とその友人の俊介のカップリングでBL妄想をする腐女子であった…という感じですね。

英語タイトルの Fujoshi というのは海外の漫画ファンの方たちにちゃんと通じる言葉なのでしょうかね。ちなみにBLやYaoi(801)が海外のオタク達に通じることは解っています。もしこの Fujoshi を海外の方たちに英語で説明するとしたら、あなたならどう説明しますか? 結構難しいと思いますが Wikipedia の英語版サイトでは Fujoshi という言葉について以下のような説明がされています。なんだかこうして英語で真面目に説明されているのを読んでいると少しおかしい感じがしますが、それだけ日本の文化、この場合はBLの文化に興味を持っている方が大勢いらっしゃるということなんでしょうね。

Fate/stay night フェイト/ステイ・ナイト

TYPE-MOONによる大人気同人ゲーム、Fate/stay night(フェイト/ステイナイト)のコミックの英語版です。コミックは西脇だっと氏が担当しています。Fate/stay nightの北米版アニメブルーレイもあります。

Fate/stay night 英語版コミック

Fate/stay night 日本語オリジナル版

Fate/stay night 英語版

日本のとある地方都市・冬木市で定期的に行われる聖杯戦争、7人の魔術師が7人のサーヴァントと契約して殺し合い、最後に生き残った一人が聖杯を手にすることができる。ひとつの魔術しか使うことのできない半人前の魔術師・衛宮士郎は、偶然にサーヴァントの一人・セイバーと契約したことからこの聖杯戦争に巻き込まれることとなる…といった感じの物語です。元が同人作品だとは思えないほどの重厚な世界観が魅力のファンタジーバトル作品ですね。

この作品はアニメ化もされたことから海外でもそれなりに知名度があります。しかしオリジナルの版権元が同人ゲーム製作会社ということもあって、ライセンス契約の煩雑さからか日本ほどにはマルチメディア展開していません。大手ゲーム会社や大手出版社ならば海外にも現地会社をもっていてそこがライセンス契約などを一手に引き受けるのですが、いかんせん中小企業の場合はそうもいかないようです。

機工魔術士 Enchanter

月刊ガンガンWINGで連載されていた河内和泉による、機工魔術士 Enchanter(エンチャンター)の英語版コミックです、全19巻。

機工魔術士 Enchanter 英語版コミック

機工魔術士 日本語オリジナル版

機工魔術士 英語版

enchanter とは英語で “魔法使い” や “他人を魅了する人” という意味の言葉ですね。この作品では悪魔が自分の足りない力を補わせる為に利用する魔具という位置づけで、悪魔と肉体的な交配をするか魔力の込められた契約書にサインすることによって力を与えられ、「物を作る力」と「魔力付加の力」を手に入れる事ができます。最初は主人公の叶晴彦がお色気むんむんの悪魔・ユウカナリアに追い掛け回されるラブコメのような展開ですが、巻を重ねるごとにシリアスな展開をしていき、いつのまにか世界観にどっぷりはまっているという作品です。

英語版は現在のところ Digital Manga Publishing より10巻までリリースされていますが、11巻以降をリリースする気配がありません。正式なアナウンスはありませんが、もしかしたら途中で企画が中止となってしまったのかも知れません。

どろろ Dororo

漫画の神様、手塚治虫によるどろろの英語版コミックです。英語版は全3巻。

どろろ Dororo 英語版コミック

どろろ 日本語オリジナル版

どろろ 英語版

知る人ぞ知る名作ですね。連載当時は設定が子供には難しすぎたのかあまり人気がでなかったようです。当時の子供たちが大人になるに従って人気が再燃した異色の作品です。

ちなみに当時は水木しげる氏による妖怪漫画ブームがおきており、手塚氏は水木氏への対抗意識からこの作品を描き始めたそうです。妖怪漫画として両者を比べてしまうとさすがに水木氏に軍配をあげざるを得ませんが、そういう対抗意識だけでこれだけの作品を生み出す手塚氏もさすがだと思います。ただし連載当時は上述の通り人気はいまひとつで、ほぼ打ち切りという形で物語が途中で終わってしまっています。設定上は敵となる妖怪が48体いるはずだったのですが、読者をあきさせないようにオリジナルの妖怪を48体も産み出すのはさすがの手塚氏にも難しかったのでしょうね。

なお手塚治虫漫画全集のあとがきには、「日本の子供には受けなかったが、海外のファンから “どろろがあなたの作品で一番好き” と言われて嬉しかった」という手塚氏のコメントが掲載されています。

星界の紋章 Crest of the Stars

森岡浩之によるSF小説、星界の紋章の英語版ライトノベルと、星界の紋章から星界の戦旗までの世界を漫画化した作品の英語版コミックです。黒地に紋章の図柄の表紙の方が小説版で全3巻、アニメタッチのイラストが描かれている方が漫画版でこちらも全3巻です。

星界の紋章 Crest of the Stars 英語版ライトノベル&コミック

星界の紋章 日本語オリジナル版

星界の紋章 英語版

壮大な世界観が特徴のスペースオペラですね。緻密に練られた国家観や種族の設定やアーヴ語など、どっぷりはまればかなりディープなところまではまれる作品です。逆に冷めた目で見てしまうとこういう作品の面白さは楽しめませんね。

さてそういう作品ですから英語で本を読むことに慣れていない方にはかなり難しい部類に入る作品だと思われます。独特な固有名詞や宇宙や物理学に関連した専門用語、さらにはこの作品独自のアーヴ語などがあり、英語版ライトノベルを読破するのは簡単ではありません。

ですから英語力に自信の無い方は無理をせず漫画版に挑戦されるか、他の作品の小説版を読んである程度自信をつけてから小説版にトライしてください。英語力に自信のある方でも、まずは日本語版を読まれてからの方がより作品の世界を理解できて楽しめるかと思います。

かりん Chibi Vampire

ドラゴンエイジで連載されていた影崎由那による漫画かりんと、甲斐透によるライトノベルかりん増血記の英語版コミック&ノベルです。漫画版(Graphic Novels)は全14巻、著者名に甲斐透(Tohru Kai)の名前があるライトノベル(Novel)が全11巻です。

かりん Chibi Vampire 英語版コミック&ノベル

かりん 日本語オリジナル版

かりん 英語版

吸血鬼の一族に生まれたのに何故か血が増える「増血鬼」として覚醒してしまった落ちこぼれ吸血鬼の果林は、増えすぎた血を他人に与えないと鼻血を出してしまう。そこへ転校生の雨水健太がやってきて、かりんの増血鬼としての体が反応する。…といった感じの作品です。吸血鬼というありがちな設定を逆手にとって増血鬼というのが面白いファンタジーラブコメですね。ささいな事ですぐ鼻血を出して恥ずかしがるドジっ子の果林がかわいいです。

漫画が原作でその後にライトノベルが発売されるというちょっと変わった作品です。ただライトノベルの方はまったくのオリジナルストーリーなので、両方読まれても楽しめるかと思います。英語版を読まれる場合は、英語にあまり自信の無い方は漫画版を、それなりに自信のある方はライトノベル版を購入されると良いでしょう。

なお英語版ですが北米の翻訳漫画出版社大手であった Tokyopop から発売されています。漫画版の方は全14巻すべてがリリースされていますが、小説版の方は Tokyopop が2011年5月をもって北米における翻訳出版事業から撤退してしまいましたので、残念ながら第8巻までしかリリースされていません。ですから他の出版社が新たにライセンスを取得しない限り、小説版については9巻以降が発売される可能性はほとんどありません。また今後在庫が希少となる可能性もありますので、この作品の英語版に興味のある方は早めに買っておかれた方が良いでしょう。

猫目小僧 Cat Eyed Boy

楳図かずおによる、猫目小僧の英語版コミックです、全2巻。

猫目小僧 Cat Eyed Boy 英語版コミック

猫目小僧 日本語オリジナル版

猫目小僧 英語版

独特の絵柄とセンスのある物語でいまなお高い評価を受ける楳図かずお氏、その隠れた名作ともいえる作品がこの猫目小僧です。妖怪猫又の子として生まれながらに、人間そっくりの外見をしていたために捨てられた猫目小僧が、あちこちさすらう旅先でさまざまな事件に巻き込まれます。2006年には井口昇監督、石田未来の主演で実写映画も製作されましたね。

とにかく独特な世界観をもった楳図氏の作品は他に似たような作品がないので説明が難しいですね。妖怪がでてくるところは水木しげる氏の作品に似ているようではありますが、鬼太郎のように正義の味方とか悪の妖怪を懲らしめるという感じではありません。そんな楳図ワールドを英語で読んだらどうなってしまうのか興味が尽きませんね。