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ユニコ Unico

一角獣(ユニコーン)の子供を主人公にして描かれた、手塚治虫による女子児童向け漫画作品、ユニコの英語版コミックです。またユニコの劇場版2作と短編映画を収録した北米版アニメブルーレイもあります(※国コード規制に注意)。

ユニコ Unico 英語版コミック

ユニコ 日本語オリジナル版

ユニコ 英語版

女神ビーナスのいじわるなたくらみによって神話の世界を追い出されてしまったユニコーンの男の子・ユニコは、時空を超えて放浪し、さまざまな人々との出会いと別れを繰り返す…。メルヘンチックに描かれた可愛らしい世界観の中にも、人間社会に現実に存在する様々な問題を内包していて、もうひとつの火の鳥という評価もあるほどの隠れた名作です。大人向けに描かれたシリアスな手塚作品も良いですが、こういう親子で読める作品もそれはそれでまた違う味わいのあるものですね。

英語版は北米の翻訳漫画出版社の Digital Manga Publishing から、2013年4月9日に全1巻(410P)で発売される予定となっています。手塚ファンで英語を勉強されているという方はぜひどうぞ。

奇子 Ayako

ビッグコミックで連載されていた、手塚治虫による奇子(あやこ)の英語版コミックです。全1巻。

奇子 Ayako 英語版コミック

奇子 日本語オリジナル版

奇子 英語版

終戦まもない昭和24年、戦地から復員した天外仁朗はGHQのスパイとなりその命令により、共産主義者であり自分の妹の志子の恋人でもあった江野正殺害に関与する。しかしその時に血がついたシャツを仁朗が洗っている所を、知的障害を持つ女中のお涼と自分の父親と兄の嫁との間にできたもう一人の妹の奇子が見てしまう。仁朗はお涼を口封じのために殺害し、奇子は一族の対面を保つために親族によって土蔵の地下室に幽閉される事になる。それから二十年ほどの歳月が過ぎ、朝鮮戦争による特需をきっかけに裏社会から政界にまで影響力を及ぼすほどの暴力団を作り上げた仁朗だったが、妹である奇子が自分のせいで幽閉されてしまった事による自責の念にずっと苛まれていた…という感じの作品です。

英語版は北米の翻訳漫画出版社の Vertical よりハードカバーにて発売されており、2013年2月にはペーパーバック版も発売される予定になっています。とは言ってもこの2つの価格はほとんど変わらないので、特に理由がない限りはハードカバー版を買われた方が良いかと思います。

アポロの歌 Apollo’s Song

週刊少年キングで連載されていた、手塚治虫によるアポロの歌の英語版コミックです。全2巻。

アポロの歌 Apollo’s Song 英語版コミック

アポロの歌 日本語オリジナル版

アポロの歌 英語版

次々と男を変える奔放な母親から愛されずに、それどころか疎まれて育った近石昭吾は、愛というものを憎悪する大人に成長した。昭吾は動物のオスとメスのツガイを見ては憎悪にかきたてられて殺してしまい、ついには警察に捕まり精神病院へと送られる事となる。医師による治療の過程で夢をみた昭吾は、夢の中の女神から「女性を愛するが、結ばれる前に自分か相手が死んでしまう」という運命を永遠に体験し続けるという罰を受けねばならないと告げられる。こうして昭吾の無限の地獄は夢の中に始まるのだった…という感じの作品です。

英語版は他にも多くの手塚作品の英訳を手がけている Vertical より、500ページ超を1冊にまとめた全1巻と、およそ250ページづつの2冊にまとめた全2巻という2つのバージョンが発売されています。全1巻の方は現在在庫が希少で手に入りにくいみたいなので、新品を買うなら全2巻の方を買った方が良いでしょう。

きりひと讃歌 Ode to Kirihito

ビッグコミックで連載されていた、手塚治虫によるきりひと讃歌の英語版コミックです。

きりひと讃歌 Ode to Kirihito 英語版コミック

きりひと讃歌 日本語オリジナル版

きりひと讃歌 英語版

四国の山あいにある犬神沢の村に起こる奇病であるモンモウ病。それは突然の頭痛と共に生肉が食べたくなり、その後身体の形が犬のような風貌に変形し、1ヶ月以内に呼吸麻痺で死に至るというものであった。大学病院でモンモウ病を担当していた青年医師の小山内桐人と同僚の占部は、この病気が川の水や土質に由来する中毒だとする仮説を立てて現地での調査に赴き、自らもモンモウ病に罹患してしまう。こうして自分の仮説の正しさを確信した桐人だったが、モンモウ病によって犬の姿となってしまった桐人にはさらなる試練が待ち受けていたのだった…という感じの作品です。

英語版は他にも多くの手塚作品の英訳を手がけている Vertical より、800ページ超を1冊にまとめた全1巻と、およそ400ページづつの2冊にまとめた全2巻という2つのバージョンが発売されています。値段的には全1巻の方が安いですが、ペーパーバックで800ページというのはさすがに読みにくいかも知れませんね。

MW ムウ

ビッグコミックで連載されていた、手塚治虫によるMW(ムウ)の英語版コミックです。全1巻。

MW ムウ 英語版コミック

MW ムウ 日本語オリジナル版

MW ムウ 英語版

若く美しいエリート銀行マン、結城美知夫には無差別猟奇殺人者という裏の顔があった。美知夫は次々と犯行を重ねては旧来の知人である賀来巌が神父を務める教会を訪れて懺悔をする。しかしこの二人は同性愛者として肉体関係を結んでいたのだった。二人の出会いは美知夫の少年時代に訪れた南国の島、沖ノ真船島にさかのぼる事ができ、この島で起きたある凄惨な事件が美知夫の心を狂わせたのだった…という感じのピカレスロマンです。

英語版は他にも多数の手塚作品の英語版を出版している Vertical より発売されています。全1巻で584ページというボリュームなので1冊の値段は少々高くても英語版コミックとしてはお買い得な部類に入るでしょう。ペーパーバックですが愛蔵版としてぜひどうぞ。

人間昆虫記 The Book of Human Insects

秋田書店のプレイコミックにて連載されていた、手塚治虫による人間昆虫記の英語版コミックです。全1巻。

人間昆虫記 The Book of Human Insects 英語版コミック

人間昆虫記 日本語オリジナル版

人間昆虫記 英語版

自らの欲望のために他人の才能を模倣して奪い、そしてその相手を破滅させるという寄生虫のような人生を送っている十村十枝子は次から次へとその宿主を変えていく。色々な男たちがそんな十枝子に魅せられて集まり、飛んで火に入る夏の虫とばかりにその人生を焼き焦がしてしまう。こんなふうに自分の幸福のために他人を犠牲にする事を少しもいとわない十枝子だったが…という感じの作品です。手塚先生ならではのピカレスクな傑作、まだ読んでいない人はぜひどうぞ。

英語版は北米の翻訳漫画出版社の Vertical よりハードカバーにて発売されており、2012年12月にはペーパーバック版も発売されます。とは言ってもこの2つの価格はほとんど変わらないので、特に理由がない限りはハードカバー版を買われた方が良いでしょう。

ばるぼら Barbara

ビッグコミックにて連載されていた、手塚治虫によるばるぼらの英語版コミックです。

ばるぼら Barbara 英語版コミック

ばるぼら 日本語オリジナル版

ばるぼら 英語版

耽美派の小説家として名声を得ていた美倉洋介は、自身の異常性欲に悩まされる毎日を送っていた。そんなある日、洋介は新宿駅でばるぼらと言う名のアルコール依存症のフーテン娘と出会い、彼女を家に連れ帰り同棲生活を始めることとなる。自堕落な彼女が家に居着いてからというもの、美倉のインスピレーションは冴え渡り…。果たして彼女は芸術の女神・ミューズなのか魔女なのか、それともただの幻影なのか…という感じの作品です。

英語版は北米の翻訳漫画出版社 Digital Manga Publishing より全1巻で、9月11日に発売予定となっています。この作品には数々の詩がセリフとして登場しますが、それらがどんな英語で表現されているのか確認しながら読むと良いでしょう。

鉄腕アトム Astro Boy

日本アニメ史の「はじまり」の作品、手塚治虫による鉄腕アトムの英語版コミックです。いまだからこそ日本語版・英語版ともに揃えて愛蔵しておきたい作品です。

鉄腕アトム Astro Boy 英語版コミック

鉄腕アトム 日本語オリジナル版

鉄腕アトム 英語版

鉄腕アトムはおそらく100年たっても名作としての地位を保っているでしょうね。しかしあまりにも昔の作品のためか鉄腕アトムの海外での知名度はそれほど高くありません。Osamu Tezuka と Astro Boy という名前は聞いたことがあっても、実際に見たことがあるという人はあまりいないのではないでしょうか。

しかしながら浦沢直樹によるPLUTOの様に、名作だからこそ何度でも甦るという面もあります。こうして一人の作者の手を離れてひとつの文化の共有財産となる様な作品は、数多くある漫画作品の中でもそれほど多くはありませんね。我こそはと思う意欲的な漫画家の方による手塚作品のリメイクをもっと読んでみたいと私は思います。

アドルフに告ぐ Adolf

漫画の神様、手塚治虫による名作、アドルフに告ぐの英語版コミックです。全5巻(ペーパーバック版)。

アドルフに告ぐ Adolf 英語版コミック

アドルフに告ぐ 日本語オリジナル版

アドルフに告ぐ 英語版

アドルフという名を持つ3人の男を中心に(アドルフ・ヒトラー、アドルフ・カウフマン、アドルフ・カミル)、第二次世界大戦の世界と昭和期の激動の日本を描く大作。ヒトラーユダヤ人説など現在の学説では既に否定されている設定や、手塚治虫氏自身の取材不足による錯誤、また話しを面白くするためのフィクションの部分はあるものの、当時の世界情勢をこの作品以上に痛烈にえぐった漫画作品を探すのは難しいでしょう。当時を懐かしく思える高齢者の方にも、いまさら昭和史を改めて知るには気後れがあるという方にも、お子様にもおすすめの作品です。

英語版コミックとしてはそれほど長い作品ではありませんが、難しい固有名詞などがよくでるので他の作品よりは英語で読むのは難しいかと思います。それだけ読破した後の英語力の上達はより大きいとは思いますが、初心者の方は他のもう少し簡単そうな作品からはじめた方が良いでしょう。

なお最近 Vertical という出版社からハードカバーで全2巻というお買い得なバージョンも発売されましたので、これから買われる方で装丁に拘りが無いという方はこちらを買われても良いですね。

どろろ Dororo

漫画の神様、手塚治虫によるどろろの英語版コミックです。英語版は全3巻。

どろろ Dororo 英語版コミック

どろろ 日本語オリジナル版

どろろ 英語版

知る人ぞ知る名作ですね。連載当時は設定が子供には難しすぎたのかあまり人気がでなかったようです。当時の子供たちが大人になるに従って人気が再燃した異色の作品です。

ちなみに当時は水木しげる氏による妖怪漫画ブームがおきており、手塚氏は水木氏への対抗意識からこの作品を描き始めたそうです。妖怪漫画として両者を比べてしまうとさすがに水木氏に軍配をあげざるを得ませんが、そういう対抗意識だけでこれだけの作品を生み出す手塚氏もさすがだと思います。ただし連載当時は上述の通り人気はいまひとつで、ほぼ打ち切りという形で物語が途中で終わってしまっています。設定上は敵となる妖怪が48体いるはずだったのですが、読者をあきさせないようにオリジナルの妖怪を48体も産み出すのはさすがの手塚氏にも難しかったのでしょうね。

なお手塚治虫漫画全集のあとがきには、「日本の子供には受けなかったが、海外のファンから “どろろがあなたの作品で一番好き” と言われて嬉しかった」という手塚氏のコメントが掲載されています。