アラクレ Wild Ones

花とゆめで連載されていた藤原規代によるアラクレの英語版コミックです。全10巻。

アラクレ Wild Ones 英語版コミック

アラクレ 日本語オリジナル版

アラクレ 英語版

母を亡くして天涯孤独の身になった主人公の若村幸千恵が、ヤクザの組長である祖父の雷伊蔵に引き取られてヤクザ達に囲まれた生活をすることになった…という感じのお話です。タイトルの “アラクレ” は荒くれ者の意味ですね。英語のタイトルも同じような意味を持つ言葉です。

ヤクザといっても現実に存在する暴力団という感じではなく、仁侠映画に登場する昔かたぎの極道で、粗野ではあるが心優しいひとたちばかりが登場します。そんな人たちから「お嬢さん」とちやほやされ、中でも美形で学校では生徒会長も務める五十嵐楽十が幸千恵の世話役となって「僕の姫」なんて読んだりするところがポイントでしょうか。幸千恵も少女漫画にありがちなおとなしい感じではなく、いざとなれば極妻のような啖呵を切ったりする快活なキャラクターなので、そういう主人公が好きな方は楽しめるでしょう。

日本語の中でも独特な話し方をしたり特殊な用語のあるヤクザの世界、それをどのような英語で表現しているかとても気になるところです。

FLCL フリクリ

ガイナックスとProduction I.GによるOVA作品、FLCL(フリクリ)のコミックとライトノベルの英語版です。著者名に作画担当のウエダハジメ(Hajime Ueda)とあるのがコミックで全2巻、執筆担当の榎戸洋司(Yoji Enokido)とあるのがノベルで全3巻です。英語リスニング力を強化したい方には、フリクリの北米版アニメブルーレイもあります。

FLCL フリクリ 英語版コミック&ノベル

FLCL フリクリ 日本語オリジナル版

FLCL フリクリ 英語版

鶴巻和哉監督の初監督作品ですね。日本での発音である “フリクリ” は英語圏の方にはとても難しいため、英語では “Fooly Cooly” という発音があてられているそうです。the pillows の音楽と併せた非常に個性的な演出が特徴的なこの作品は OVA作品 ということで日本国内でこそ知名度はそれほど高くないですが、カートゥーンネットワークでの放映がされた北米では高い人気を得ました。

コミックが全2巻ということで、英語版コミック初心者の方にはおすすめなボリュームです。小説版の全3巻は中級者以上の方に最適でしょう。どちらも英語で読むとさらに雰囲気がでて、Fooly で Cooly なテイストを楽しめることでしょう。

コミック、ライトノベル共に 翻訳出版大手の Tokyopop から発売されていますので、翻訳の質についてはある程度期待しても良いでしょう。

僕等がいた We Were There

ベツコミ(別冊少女コミック)にて連載されている、小畑友紀による、僕等がいたの英語版コミックです。

僕等がいた We Were There 英語版コミック

僕等がいた 日本語オリジナル版

僕等がいた 英語版

2012年には実写映画が公開される予定となっていますね。少女漫画というと彼氏と両思いになってハッピーエンドという作品が多いと思いますが、この作品は高校生のころの淡い恋愛から始まり、遠距離恋愛、彼氏の失踪、三角関係と登場人物の成長とともに人間関係も複雑化していきます。あくまでフィクションなのでまるで絵に描いたような感じはありますが、ハッピーエンドで終わりじゃないストーリー展開にはどことなくリアリティを感じる方も多いのではないでしょうか。

さて英語版コミックマニアとして気になるのはこの作品の海外での評価です。ハリウッド映画なんかの影響で男女関係については日本より北米の方が進んでいるイメージがありますが、実際には地域や信仰によっては保守的な家庭も多いです。果たしてどのくらいの数の方がこの作品に共感して面白いと思ってくれるでしょうか。ただ個人的には英語圏よりはアジアで人気がでそうな予感はしますね。

EDEN エデン

月刊アフタヌーンで連載されていた、遠藤浩輝によるEDEN(エデン)の英語版コミックです、全18巻。

EDEN エデン 英語版コミック

EDEN 日本語オリジナル版

EDEN 英語版

正式なフルタイトルは “EDEN 〜It’s an Endless World!〜” ですね。エデンといえば旧約聖書の創世記に登場する地上の楽園で、アダムとイヴが知恵の実を食べて追放されるまで住んでいた場所のことですね。より正確には “エデンの東方にある園” こそが楽園であり、エデン=楽園というのは後世にひろまった誤解です。

上記のことはこの作品とは関係ないことのように思えますが、この作品にはエノアやソフィアやグノーシアなどグノーシス主義とその神話をモチーフにしたような内容が見受けられます。一方でグノーシス主義がキリスト教の一宗派ではなく、独立したオリエント起源の “東方の” 宗教と解釈される場合もあることを考えると、なにやら上の話が意味深に思えてくるから不思議です。まあ気のせいでしょうけど。

もちろんこれらはあくまでお話を面白くするための味付けのようなものです。エヴァンゲリオンがカバラの思想を世界観に取り入れてるのと同様に、グノーシスを理解することによってこの作品の世界観をより一層楽しめますよというだけのことです。遠藤浩輝氏自身がこの作品について「エヴァンゲリオンに影響された」 とあとがきで語っていますね。

そんな作品ですから英語で読むにはかなりの英語力が必要になります。娯楽作品であることには違いないのですが、単語や表現がやたらと小難しいのですね。ですからこのサイトで主眼である “楽しんで英語を学ぶ” には最適とは言えない作品かも知れません。

トリニティ・ブラッド Trinity Blood

吉田直による大人気ライトノベルのトリニティ・ブラッドの英語版ライトノベルと、九条キヨの作画によるコミックの英語版です。著者名に九条キヨ(Kiyo Kyujyo)の名前がある方がコミックとなります。英語リスニング力を強化したい方には、トリニティブラッドの北米版アニメブルーレイもあります。

トリニティ・ブラッド Trinity Blood 英語版ライトノベル&コミック

トリニティ・ブラッド 日本語オリジナル版

トリニティ・ブラッド 英語版

中世的な雰囲気のある近未来のヨーロッパを舞台にしたSFファンタジー作品です。核兵器や細菌兵器が飛び交うアルマゲドンの後、人類の文明と生存圏はほぼかつての中世ヨーロッパほどに縮小してしまった。そこに追い討ちをかけるように吸血鬼たちが真人類帝国をきずき人類と対立する。そんな世界の物語ですね。世界観はほぼ中世ヨーロッパでありながら近未来であるため、ロボットやハイテク兵器が登場したりします。

小説版は “トリニティ・ブラッド Rage Against the Moons” 全6巻のうち英語版のリリースは4巻まで、 “トリニティ・ブラッド Reborn on the Mars” 全6巻(未完)のうち英語版のリリースは3巻まで、漫画版は既刊13巻(続刊中)のうち英語版は12巻までリリースされています。しかし英語版の出版社である Tokyopop が、2011年5月31日をもって北米における漫画翻訳事業から撤退してしまったため、その後のリリースがどうなるかはわかりません。できれば別の出版社が続きを引き継いでリリースしてもらいたいと思いますが、今のところその予定はないようです。

いばらの王 King of Thorn

コミックビームで連載されていた岩原裕二による、いばらの王の英語版コミックです、全6巻。またいばらの王の北米版アニメブルーレイもあります(※国コード規制に注意)。

いばらの王 King of Thorn 英語版コミック

いばらの王 日本語オリジナル版

いばらの王 英語版

あらすじ
治療法のない致死率100%の謎の石化病「メデューサ」が蔓延する世界で、人類の生き残りを託されてコールドスリープがほどこされた160人の人々が目覚めた時に見たものは・・・”いばら” に覆われた廃墟と化した施設で人々を襲う獰猛なモンスター達だった。

この作品は、最近アニメ映画化されてどうやら日本よりも海外での評価が高いようです。なんとなくB級パニックサスペンスの雰囲気が漂うこの作品は好きな人にはたまらないものがあるでしょうね。私も結構好きです。

なんでもスペインのシッチェス・カタロニア国際映画祭という映画祭に出品されていて、なんらかの賞の受賞が期待されているみたいです。この映画祭では最近日本のアニメ作品の受賞が多く、国内および海外向けのプロモーションの場として活用されているみたいです。

※シッチェス・カタロニア国際映画祭での日本のアニメの主な受賞作品

ハウルの動く城(観客賞)
スチームボーイ(アニメーション部門長編作品グランプリ)
時をかける少女(アニメーション部門長編作品グランプリ)
蟲師(最優秀特殊効果賞、最優秀映画音楽賞)
スカイ・クロラ(批評家連盟賞、最優秀映画音楽賞)
サマーウォーズ(アニメーション部門長編作品グランプリ)

純情 Pure Heart

Dariaで連載されていた富士山ひょうたによるBL(ボーイズラブ)漫画、純情の英語版コミックです、全3巻。

純情 Pure Heart 英語版コミック

純情 日本語オリジナル版

純情 英語版

サラリーマンのゲイとノンケのカップルの恋愛を描いた作品です。突然の再会で以前恋心を抱いていたノンケの倉田と肉体関係を持つことになったゲイの戸崎、体からはじまった関係だったが次第に心も惹かれあうようになって…みたいな感じですね。

2010年には金田敬監督、戸崎圭祐役:栩原楽人、倉田将成役:高橋優太で実写映画も公開されていますね。よくアニメなんかが実写化されると作品のイメージを壊されたといって怒るファンの方がいらっしゃいますが、ボーイズラブ漫画の場合だとどうなんでしょうね。役者さんの見た目や演技しだいでしょうか。

英語版は Digital Manga Publishing より第1巻だけが発売されています。第2巻と第3巻が発売されるかどうかはちょっと解りません。

いぬかみっ! Inukami!

原作は有沢まみずによるライトノベルですが、ここでは松沢まりの作画による漫画版いぬかみっ!の英語版コミックを紹介します、全6巻。

いぬかみっ! Inukami! 英語版コミック

いぬかみっ! 日本語オリジナル版

いぬかみっ! 英語版

犬神、つまり犬の神様(ヒロイン役のようこの正体は犬ではなく妖狐)と犬神使いの少年のお話ですね。日本の神道や民間伝承などをモチーフにした世界観が特徴的です。神様といってもどことなく愛嬌があり、人間よりむしろ人間くさいキャラクター達ばかりで、古き良き日本を感じさせるにおいがしてくるような気がしますね。

なお犬神じたいは実際に西日本を中心に古くから伝わる伝承で、神様というよりはどちらかというと呪術に用いられる憑き物ですね。犬神を使役する(あるいは使役すると疑われた)家系は犬神筋とよばれて差別を受けていたと言われています。この辺の伝承を調べると、この作品の持つなごやかなイメージからはかけはなれた民俗史をかいま見ることになりますので注意してください。

全6巻ということで英語版コミックに挑戦するにはちょうどよいボリュームです。日本語オリジナル版と同様に1巻から6巻まで個別に発売されている Tor Books の英語版の他に、Seven Seas から3巻づつをそれぞれ1冊にまとめたオムニバス版(1-3巻と4-6巻の計2冊)も発売されていますのでお好きな方を選ばれると良いでしょう。

親指からロマンス The Magic Touch

花とゆめで連載されていた椿いづみによる、親指からロマンスの英語版コミックです、全9巻。

親指からロマンス The Magic Touch 英語版コミック

親指からロマンス 日本語オリジナル版

親指からロマンス 英語版

マッサージ研究会という不思議な部活に所属する女子高生の恋のお話です。マッサージが趣味でマッサージしがいのある体つきをしている森泉陽介に恋をしてしまった東宮千愛。陽介に「俺を惚れさせたらマッサージしていい」 といわれてがんばる千愛。少女漫画でありがちな雰囲気からはどことなくはずれているが、なぜか心癒されてしまう作品です。

シンプルな恋愛物語を読みたいひとには合わないかも知れませんね。ラブコメディのコメディ要素が強いので何も考えずに気楽に漫画を読みたいという方にはちょうど良いでしょう。

そんな作品で英語学習ってどうなのよ。という疑問が個人的には沸いてきますが、そこは好きこそものの上手なれということわざもあるように、日本語版を楽しんで読める方は英語版も楽しんで読めることでしょう。

イチロー! Ichiroh!

まんがタイムきららMAXで連載中されていた未影による、イチロー!の英語版コミックです。全5巻。

イチロー! Ichiroh! 英語版コミック

イチロー! 日本語オリジナル版

イチロー! 英語版

イチローと言っても野球選手ではなく、受験などで使われる一浪の方ですね。大学受験に失敗して浪人することになった女の子の予備校と寮生活をつづる日常系萌え4コマ作品です。実際に浪人をして受験勉強をしている人のひとときの心の安らぎとしてはとても良い作品なんじゃないですかね。一般的にとても暗いイメージのある予備校や浪人生活を明るく描くことにより、受験をひかえた高校生やかつて受験生だった大学生や社会人に人気となりました。

ただ英語圏での評価はどうなんでしょうかね。日本の受験システムに近いアジアの国の人々はおそらく共感できるだろうと思いますが、アメリカやイギリスなど欧米には日本でいうような浪人生は存在しませんので、この作品のストーリーがわかりにくいかも知れませんね。