支倉凍砂によるライトノベル作品 狼と香辛料 の英語版ライトノベルとコミックです。英語リスニング力を強化したい方には、狼と香辛料の北米版アニメブルーレイもあります。
狼と香辛料 Spice and Wolf 英語版ライトノベル&コミック
この作品はもちろんフィクションですが、世界観は中世ヨーロッパをモチーフにしています。キリスト教をモチーフにした一神教が人々の生活を支配していたり、当時カトリック教会の影響力の弱かった地域が異教徒の地として描かれていたり、実際の中世ヨーロッパの歴史に詳しい人が思わずニヤリとしてしまう描写がたくさんあります。イギリスをモチーフにしたであろうウィンフィール王国の主要産業が牧畜と羊毛という点も実際の歴史と同じです。これらが後の産業革命の下地となるので、イギリス史で羊毛は外せません。
それとタイトルの 狼と香辛料 の “香辛料” は物語中の戯曲中の台詞に登場しますが、主人公のクラフト・ロレンスの職業が商人である事から、”商人” を意味する暗喩でもあると思われます。ただし実際の中世の香辛料取引はイスラム商人とヴェネツィア商人に独占されており、一介の商人が扱える品ではありませんでした。後にポルトガルはこれを打破するために喜望峰を経由してインドに至り、大航海時代の幕を開ける事になります。
多くの日本人が知っているヨーロッパはルネッサンスや産業革命や大航海時代が訪れた後の先進的なヨーロッパなので、それ以前のヨーロッパの雰囲気を知るには最適な作品だと思います。
なお原作者である “支倉凍砂 / Isuna Hasekura” の名前の他に、漫画版の作画担当の “小梅けいと / Keito Koume” の名前がある方が英語版コミックです。