スパイvsスパイ Spy Vs. Spy

今回紹介するのは日本の漫画の英語版ではなくて昔懐かしい名作ゲーム、スパイvsスパイの元ネタとなったアメリカのコミックです。

スパイvsスパイ Spy Vs. Spy

スパイvsスパイ 英語版

なおこの作品にはセリフがありませんので、スパイvsスパイの英語版を読んだとしても大して英語学習のたすけにはなりません。ただ日本の漫画にはない独特の世界観や表現が、新鮮に感じられますのでぜひとも一度読んでもらいたい作品です。

なおアメリカのMAD MAGAZINEという雑誌で1961年に連載がはじまったこの作品ですが、作者の Antonio Prohias 氏は亡命キューバ人であり、スパイvsスパイにはキューバのカストロ議長やそれを追う CIA などに対する風刺として、まさに現実のスパイ合戦に対する批判が込められています。全体としてトム&ジェリーのようなドタバタのサイレントコメディにブラックユーモアの味をつけたした感じではありますが、そういう作者の背景を知ってから読むとブラックさがさらに増して楽しめます。

スパイラル 〜推理の絆〜 Spiral: The Bounds of Reasoning

月刊少年ガンガンで連載されていた、原作 城平京、作画 水野英多によるスパイラル 〜推理の絆〜の英語版コミックです、全15巻。

スパイラル 〜推理の絆〜 Spiral: The Bounds of Reasoning 英語版コミック

スパイラル 〜推理の絆〜 日本語オリジナル版

スパイラル 〜推理の絆〜 英語版

サブタイトルから解るように推理モノの漫画ですね。名探偵コナンとか金田一少年の事件簿とか非常に知名度の高い作品があるなかで、これらとはまた違った感じのある隠れた名作です。特に作画とかキャラクターデザインの雰囲気が美少年、美男子、美少女が多いので、そこら辺がはっきり大きく違うところでしょうか、少年向け・少女向けであることは違いないのですが前述の2作品よりは若干上の年齢層がターゲットでしょうね。

全15巻というボリューム、しかもセリフやナレーションの多い推理モノというジャンルで、英語で読むには難しい部類に入るかとおもいます。ただそれだけに全巻英語で読破できたら、その時はかなりの英語力がついているでしょう。何度も繰り返し読むことによって、さらに英語力は向上します。

サンクチュアリ Sanctuary

ビッグコミックスペリオールで連載されていた、史村翔原作、池上遼一作画のサンクチュアリの英語版コミックです、全12巻。

サンクチュアリ Sanctuary 英語版コミック

サンクチュアリ 日本語オリジナル版

サンクチュアリ 英語版

カンボジアの戦乱から帰国した二人の男(北条彰・浅見千秋)が、表と裏の世界、つまり政治と暴力団の世界で互いにのし上がって理想の日本を作り上げようとする物語です。シリアスでハードボイルドな話が好きな人にはおすすめです。

なお映画「フィフス・エレメント」の中の、ブルース・ウィリス演じる主人公のコーベン・ダラスがベッドに寝転がってその日に出会った女性の話をしているシーンには、ベッドの横にこのサンクチュアリの英語版の単行本が一冊おいてあるそうです。私が確認したわけではありませんが、興味のある方はチェックしてみると良いかも知れません。事実だとしたらブルース・ウィリスの趣味なのか、それとも監督や小道具さんなどのスタッフの趣味なのか…少し興味があります。

英語版は北米の翻訳漫画出版大手の、VIZ Media から発売されています。

BAMBOO BLADE バンブーブレード

アニメも放送されて人気のBAMBOO BLADE(バンブーブレード)の英語版コミックです、原作:土塚理弘、作画:五十嵐あぐり、全14巻です。またバンブーブレードの北米版アニメDVDもあります(※リージョンコードに注意)。

BAMBOO BLADE バンブーブレード 英語版コミック

BAMBOO BLADE 日本語オリジナル版

BAMBOO BLADE 英語版

BAMBOO BLADEは直訳すると “竹の刃” ってことで剣道で使う竹刀を意味する造語ですね。もちろん一般に使われる英語ではありません。その名の意味するとおり女子剣道部を題材した部活系漫画です。

海外ではサムライやニンジャが安定的に人気がありますが、剣道、しかも女子剣道というのはどういう評価だったんでしょうかね。中にはもっとシリアスな男の剣道をみたいという人はいるでしょうし、エンターテイメントとして萌え系剣道も面白いという人もいたでしょうね。

剣道にくらべて柔道はオリンピックなどの影響もあってか海外でも習っている方が多いですね。特にフランスやロシアなんかは下手したら日本より競技人口が多いみたいです。剣道も海外での人気が高まって欲しいと思いますが、海外の前に日本で競技人口が増えなきゃだめですかね。

サムライチャンプルー Samurai Champloo

ヒップホップカルチャーとサムライの融合という異色の設定で人気となった、サムライチャンプルーの作画:ゴツボ☆マサルによるコミカライズ版の英語版コミックです。全2巻。英語リスニング力を強化したい方には、サムライ・チャンプルーの北米版アニメブルーレイもあります。

サムライチャンプルー Samurai Champloo 英語版コミック

サムライチャンプルー 日本語オリジナル版

サムライチャンプルー

上述のとおり時代劇にヒップホップを融合させた世界観はじつに独特でした。時代考察なんてなんのその、「ガタガタ言うな。黙って見やがれ」ってなもんです。この辺のセンスはさすがカウボーイビバップの渡辺信一郎監督といったところでしょう。

時代劇にヒップホップなんていうと目新しく斬新なイメージがありますが、不思議と懐かしいというか少々オールドなテイストも感じます。黒澤明監督の映画に影響を受けた若かりし頃のジョージ・ルーカスやスピルバーグのような、古きよき洋画のテイストを感じるのは私だけでしょうか。

全2巻ということで英語で読むには最適なボリュームです。絵にも動きがあって退屈しないので、英語版漫画の初心者の方に最適だと思います。

SAMURAI 7 サムライ7

黒澤明監督の名作「七人の侍」をアニメ化したSAMURAI 7(サムライセブン)の周防瑞孝によるコミックの英語版です。コミックは上下2巻。英語リスニング力を強化したい方には、サムライ7の北米版アニメブルーレイもあります。

SAMURAI 7 サムライ7 英語版コミック

SAMURAI 7 日本語オリジナル版

SAMURAI 7 英語版

七人の侍をモチーフにしているといっても、ロボットとかサイボーグとかがでてくるSFに時代劇のテイストを足したような世界観です。ですから本格的な時代劇を期待するとがっかりするかも知れません。それよりは黒澤明監督に大きな影響を受けたジョージ・ルーカス監督のSF超大作であるスターウォーズを時代劇風にアレンジした、といった方が雰囲気が伝わりやすいでしょうね。

なおアニメ版とコミック版ではかなりストーリーに違いがありますので、アニメ版を見て同じ話を期待してコミックを買ってもやっぱりがっかりするでしょう。それでも作品の完成度は高いので、別のものとして見るなら楽しめると思います。

全2巻というボリュームもちょっと英語版の漫画にチャレンジしてみるには最適な長さです。プレゼントなんかにもおすすめですね。

ヴァンパイア十字界 The Record of a Fallen Vampire

月刊少年ガンガンで連載されていた、原作 城平京、作画 木村有里によるヴァンパイア十字界の英語版コミックです。全9巻。

ヴァンパイア十字界 The Record of a Fallen Vampire 英語版コミック

ヴァンパイア十字界 日本語オリジナル版

ヴァンパイア十字界 英語版

タイトルから察するとおり吸血鬼を題材とした物語ですね。しかし吸血鬼と戦うお話ではなくて、愛する女性を助けるために何百年も旅を続けるヴァンパイアの王様のお話です。ヴァンパイアの王であるがゆえに強く、そして孤独、ついでにいうと見た目は若く美しい。ということで女性のファンも多いと思われます。原作の城平京氏はミステリー作家ということで、二転三転する予想のつかぬストーリー展開は読むものを飽きさせません。

全9巻と少し長めですが、じっくり時間をかえて読めば読めないこともありません。英語版コミックはなにより楽しんで読むことが重要ですから、この作品のファンだという方は買って損はないでしょう。

英語版は北米の翻訳漫画出版大手、VIZ Media から発売されています。

パンプキン・シザーズ Pumpkin Scissors

月刊少年マガジンで連載中の岩永亮太郎による、パンプキン・シザーズの英語版コミックです。また パンプキン・シザーズの北米版アニメDVD もあります。

パンプキン・シザーズ Pumpkin Scissors 英語版コミック

パンプキン・シザーズ 日本語オリジナル版

パンプキン・シザーズ 英語版

第一次世界大戦前後の世界をモデルした架空の世界の戦災復興を描いた物語です。戦争そのものではなく、戦争終結後の混乱した世界を描くという点においては黒澤明監督の七人の侍のような印象も受けます。といっても小難しいヒューマニズムばかりというわけでもなく、どちらかというと少年漫画の王道的正義(弱きを助け、強きをくじく)と派手なアクションもある娯楽作品としてうまくまとまっています。

Amazon のページには “鋼の錬金術師” に似ているなんて評価もありましたが、うまいことを言う方がいるものです。どこが似ているかといえばまったく似てないのですが、ギャグに偏らずシリアスに偏らず、架空の世界の話でありながらストーリーにリアリティがあるという点において共通点が見出せます。主役が美少年ではなくごついおっさんと若い女性なので女性にはウケが悪いかも知れませんが、男性読者にはウケるでしょうね。

サイコバスターズ Psycho Busters

青樹佑夜によるライトノベル、サイコバスターズの英語版と、作画 奈央晃徳による同作品のコミック版の英語版コミックです。著者名に奈央晃徳(Akinari Nao)の名前のある方がコミックスです。ライトノベルは全3巻、コミックは全7巻です。

サイコバスターズ Psycho Busters 英語版ライトノベル&コミック

サイコバスターズ 日本語オリジナル版

サイコバスターズ 英語版

平凡な日常を過ごしていた中学生である、馳翔(はせかける)はある日突然超能力に目覚めて仲間達とともにファームという組織の陰謀を阻むための戦いに身を投じることになる…という王道といえば王道すぎるほどの設定の作品です。最近では超能力者といえば漫画やライトノベルでしかなかなかお目にかかれないようになってきましたが、それだけに逆に目新しいと感じる人も多いのかも知れません。

さて英語版コミックスの全7巻、英語版ライトノベルの全3巻というボリュームは、初心者の方には少々きつい長さではありますが、英語で本を読むことに慣れ始めたかたにはそれぞれ最適な長さだと思います。たとえば漫画の方を日本語版で読んで、小説の方を英語で読んだり、そんな感じで読むと楽しみながらも英語力を鍛えることができるのではないでしょうか。

プラネテス PLANETES

モーニングで連載されていた幸村誠によるプラネテスの英語版コミックです。
全4巻(英語版は全5冊)。

プラネテス PLANETES 英語版コミック

プラネテス 日本語オリジナル版

プラネテス 英語版

プラネテス(PLANETES:ΠΛΑΝΗΤΕΣ)とはギリシャ語で “さまよう人” という意味の言葉で、英語の “planet / 惑星” の語源となった言葉でもあります。近未来の宇宙を舞台にスペースデブリ(宇宙に漂うゴミ)の回収業にたずさわる若者達の生活を描く物語です。宇宙へと生存圏を拡大しても相変わらずの紛争や格差をかかえる人類の問題やそこに生きる人々の生活を鮮やかな手法で切り取っています。

この作品はサンライズの製作でアニメ化もされましたが、漫画・アニメ両方とも海外で高い評価を受け、Anime News Network は2005年度におけるSFアニメ作品の最高傑作だと絶賛しました。しかし残念ながらこれらの評価はコミックの売り上げには結びつかず、セールス的はまずまずといったところだったようです。

なおこの作品の英語版の第4巻は、Part1 と Part2 の2冊に分かれています。ですから日本語版は全4巻なのにも関わらず、英語版は全部で5冊で完結となっており、少々ややこしいので注意が必要です。