少年漫画・その他」カテゴリーアーカイブ

ぱすてる Pastel

週刊少年マガジンからマガジンSPECIALに移籍して現在も連載中の小林俊彦によるラブコメ漫画、ぱすてるの英語版コミックです。

ぱすてる Pastel 英語版コミック

ぱすてる 日本語オリジナル版

ぱすてる 英語版

夏休みのバイト先で出会った美少女・月咲ゆうに一目ぼれした只野麦、二度とは会えないと思っていたが月咲ゆう・つかさの姉妹と同居することになる…という感じのラブコメ作品です。最近はラブコメというとファンタジーだったりSFだったり登場人物が並みの人間ではなかったりする事が多いですが、そんな中でもきわめて正統派な感じのする作品ですね。

英語版の発売ですが14巻までリリースされたところで15巻以降の発売が中止されています。おそらく講談社と 英語版の出版社の Del Rey とのライセンス契約が切れたんでしょうね。ただ最近は海外の翻訳出版社を介さず講談社が直接英語版を発売するケースも増えてきていますので、もしかしたら15巻以降の発売があるかも知れません。

オニナギ Oninagi

まんがタイムきららフォワードで連載されていた石田あきらによる、オニナギの英語版コミックです。全4巻。

オニナギ Oninagi 英語版コミック

オニナギ 日本語オリジナル版

オニナギ 英語版

漢字のタイトルは「鬼薙」ですね。ごく普通の女子高生の七巫がいきなり妖怪疑惑をかけられて、神器省に所属する一級討伐者の鬼殺智尊が出会うことによって始まる鬼の力を受け継ぐ少女と、鬼を討つ少女の戦いを描いています。

英語版はいまのところ翻訳漫画出版大手の Yen Press より3巻までリリースされています。第4巻がリリースされるかはいまのところは解りませんが、原作の方も打ち切りのような形で連載が終了しているので全巻そろえねばならないという程でも無いかもしれません。英語版の漫画はたまにこういう形でシリーズ途中で続巻の発売が中止されてしまう事があります。理由は北米における売り上げ、日本の著作権者とのライセンス問題、なかには出版社が事業停止してしまって英語版のタイトルが軒並み発売中止になってしまうケースなどあります。

メトロ・サヴァイブ Metro Survive

チャンピオンで連載されいていた藤澤勇希のメトロ・サヴァイブの英語版コミックです、全2巻。

メトロ・サヴァイブ Metro Survive 英語版コミック

メトロ・サヴァイブ 日本語オリジナル版

メトロ・サヴァイブ 英語版

東京都心で起きた震度7の大地震、地下鉄に閉じ込められた10人が脱出を試みるパニックアクションです。Metro = 地下鉄、Survive = 生き残る、という意味ですね。この手の作品にありがちな和製英語ではあります。

物語としてはなんとなくハリウッドのB級映画にありがちな設定ですが、私はこういうの好きですね。登場人物それぞれに人間味があるとなお良いです。こういう事態が起きると人々はなんらかの役割を演じようとするものです。率先してリーダー役を務める者、リーダーと対立する者、この両者の調整役となる者、これらの人々の庇護下に入って自分からは何もしない者、それぞれですね。よくこういう時に人間性が表れるという人もいますが、私は誰しもがこれら全ての役割を演じる可能性があると思います。他のみんなが悲観的だと楽観論を言いたくなり、その逆に楽観ばかりだと悲観論を言いたくなる。こういうのは集団のバランスや多様性を維持しようとする人間の本能のようなものではないでしょうか。

全2巻というボリュームでさくっと読めるところも良いですね。そういう所もなんかB級映画っぽいです。2巻セットもあるみたいなので、こちらを買われても良いでしょう。

羊のうた Lament of the Lamb

コミックバーズで連載されていた、冬目景の羊のうたの英語版コミックです、全7巻。

羊のうた Lament of the Lamb 英語版コミック

羊のうた 日本語オリジナル版

羊のうた 英語版

幼い頃に母親を亡くし、父親の友人の家で育てられた高城一砂は同級生の腕について血を見て異様な感覚に襲われる。その感覚の謎を知るために訪れたかつて暮らしていた実家を訪れた一砂はそこで実の姉の高城千砂と再会する。そして千砂は「吸血鬼のように他人の血を求めて発作的に人を襲う」という高城家の家系に伝わる病気の事を聞かされるのだった…という感じの物語です。

表紙の絵からも伝わってくるかと思いますが、冬目景氏の独特の世界観というか、破滅的な雰囲気がとても良いですね。また花堂純次監督、小栗旬主演で実写映画にもなりました。なんでも一時期海外版の映画が Tokyopop によって作られるという話もあったそうですが、その後どうなったんでしょうかね。

ちょっと雰囲気の暗い作品ですが、名作の名に値する作品だと思います。ファンの方は日本語版だけでなく英語版を買い揃えて英語学習されてはいかがでしょうか。

Gun Blaze West ガンブレイズウエスト

少年ジャンプで連載されていた、和月伸宏氏のGun Blaze West(ガンブレイズウエスト)の英語版コミックです、全3巻。

Gun Blaze West ガンブレイズウエスト 英語版コミック

Gun Blaze West 日本語オリジナル版

Gun Blaze West 英語版

西部劇を現代風にアレンジした作品ですね。和月伸宏氏といえばるろうに剣心が有名ですが、時代劇を現代風にアレンジした作品で少々売れすぎてしまったために、時代劇とは真逆の世界観の作品を作ろうとしたのでしょうか。しかし作品の構想を十分に練る準備期間が与えられなかったために、あまり人気はふるわず全3巻で連載終了となってしまいました。個人的にはせっかく西部劇という舞台を用意したのに、作者・編集者どちらの方針か解りませんが元会津藩士の娘がヒロイン役であるなど、結局剣心の影響をぬぐいさる事ができなかった所が敗因だと思います。

考えてみれば黒澤明監督の七人の侍がアメリカで荒野の七人という西部劇にリメイクされるなど、時代劇と西部劇は題材こそ違えど表現手法は多くの点で共通しています。だからこそ互いの世界が持つ雰囲気というものを大事にしなければ、世界観が台無しとなってしまう危険があるのではないでしょうか。

FAIRY TAIL フェアリーテイル

少年マガジンで連載中の真島ヒロによるファンタジー漫画、FAIRY TAIL(フェアリーテイル)の英語版コミックです。英語リスニング力を強化したい方には、FAIRY TAILの北米版アニメブルーレイもあります。

FAIRY TAIL フェアリーテイル 英語版コミック

Fairy Tail 日本語オリジナル版

Fairy Tail 英語版

フェアリーテイル(fairy tale)といえば英語でおとぎ話を意味する言葉ですが、この作品のタイトルは tale(物語) と tail(尻尾) をかけているのでしょうね。発音はまったく同じ(téil)です。内容としては近年の少年漫画の王道的な雰囲気を持つRPG風ファンタジーですね。主人公は火を操り肉弾戦も得意な魔導師の少年です。

アニメ化もされて日本でも単行本が結構売れているみたいですが、北米でもそれなりに人気があるみたいです。やっぱこの手のバトル系は人気が日本でも北米でも人気がでますね。

この作品の英語版は12巻まではアメリカの翻訳出版大手の Del Rey から発売されていますが、13巻以降は講談社の現地法人(Kodansha USA)から直接発売されています。おそらく小学館集英社プロダクションがつくった VIZ media の成功にならって、講談社もようやく海外での翻訳漫画出版に本腰を入れ始めたという事でしょうね。これによって質の高い英語版コミックがますます多く出版されるようになれば大歓迎です。

メガトーキョー Megatokyo

今回紹介するのは日本の漫画の英語版ではなく、フレッド・ギャラガーとロドニー・キャストンという二人のアメリカ人によるウェブコミックのMegatokyo(メガトーキョー)の英語オリジナル版コミックです。

メガトーキョー Megatokyo 英語オリジナル版コミック

メガトーキョー 日本語訳版コミック

メガトーキョー

アメリカ人が描いていると言ってもよくあるアメリカンコミックのようなものではなく、ひょんな事から日本に滞在する事になった小柄で内気なオタクのピロと自信家でコアゲーマーのラルゴのアメリカ人2人が、日常と非日常・現実と非現実の入り混じる東京で暮らすというストーリーになっています。ピロとラルゴは作者であるフレッドとロドニーがモデルとなっていますが物語自体はフィクションで、ピロが日本人女性に恋をしてなんとなくハーレム作品っぽい展開をしたり、守護天使やアンドロイドの少女が登場したりとオタク趣味全開な作品になっています。

作画も日本の漫画を真似たような感じで、はっきり言えば日本の同人レベルにも達していないような下手さですが、本場アメリカのオタク達の間での人気は非常に高く、単行本化された時には北米のグラフィックノベルの売り上げ第3位を記録しました。自らも日本で暮らしたいと思っている北米のオタク達の共感を集めたのでしょうね。

日本人の英語学習者である我々としては、アメリカ人のオタクの生態というか日本に対してどんなイメージ(あるいは妄想)を抱いているのかを知る事のできる貴重な作品だと思います。ある意味において日本のオタクよりオタクっぽいというか、本当に日本のオタク文化は世界で愛されているのだなと実感する事ができます。

2009年5月には講談社から日本語訳版のコミックが1巻発売されていますね。英語が苦手だという方も話のネタとして読んでみたらどうでしょうか。

ちょびっツ Chobits

ヤングマガジンで連載されていた、CLAMPによるちょびっツの英語版コミックです。また英語リスニング力を強化したい方には、ちょびっツの北米版アニメブルーレイもあります。

ちょびっツ Chobits 英語版コミック

ちょびっツ 日本語オリジナル版

ちょびっツ 英語版

「パソコン」と呼ばれる人型の情報端末が普及する世界で、限りなく人間に近い感情を持った少女型パソコンの “ちぃ” と、一人暮らしの浪人生の本須和秀樹の交流を描いたSFラブコメディです。

このように一人暮らしの男性の家に突然美少女が住み着く作品や、感情を持ったロボットとの恋愛 or 友情関係を問う作品はもはや古典的と言っていいほどに多くの作品が作られていますが、連載当時は一家に一台あるいは一人に一台パソコンを持つのが当たり前となってきていた時代背景があり、パソコンの進化の究極形の一つに人型という方向性を示した衝撃作であると思います。どこまでも人間に近いものを追求するなら人間で良いじゃないかとも思わないでもないですが、こういう作品が理想とするのは人ならぬ身でこそ得られる “無垢さ” にあるような気がします。ちぃも高性能なパソコンとして描かれていながら、秀樹に教えられない限り何もできない何も知らない無垢な存在として描かれています。

さて英語版ですが、北米の翻訳漫画出版社の Dark Horse Comics より、日本語オリジナル版のおよそ4巻分の内容を1冊にまとめたオムニバス版が全2巻で発売されています。

また日本語と英語の両方のセリフが書かれているバイリンガル版 ちょびっツもあります。バイリンガル版も2巻まで発売されていますが、こちらは話の途中で終わっています。

銀河鉄道999 Galaxy Express 999

松本零士氏の不朽の名作、銀河鉄道999(ぎんがてつどうスリーナイン)の英語版コミックです。また銀河鉄道999の北米版アニメDVDもあります(※リージョンコードに注意)。

銀河鉄道999 Galaxy Express 999 英語版コミック

銀河鉄道999 日本語オリジナル版

銀河鉄道999 英語版

母親を機械人間に殺されて天涯孤独の身となった少年・星野鉄郎が、謎の美女・メーテルと共に機械の体をタダでくれるというアンドロメダにある星を目指して999と呼ばれる銀河鉄道の列車に乗って旅をするというSFファンタジー作品ですね。旅の途上で立ち寄る様々な環境の星に生きる人々との出会いや別れが、少しづつ鉄郎を成長させていく物語です。特に地球の常識がまったく通用しない星がほとんどなので、そういう世界で生き残るための思考の柔軟さを養いつつも自分を見失わない強さに気づかされる点が秀逸だと思います。

さていまのところ英語に翻訳されているのは、上記のようなストーリーのいわゆる「アンドロメダ編」ではなくて、その続編ともいえる「エターナル編」のようです。アンドロメダ編から約1年後、鉄郎が再びメーテルとともに999号に乗り、アルテメータ星系にあるという終着駅・エターナルに向けて旅をする物語が描かれています。詳細については残念ながら確認できませんでした。

なお余談ではありますが、999と書いて “three-nine (スリーナイン)” と読む事は普通の英語ではありません。それだと39になってしまいます。777をスリーセブンなどと読むのと同じで和製英語的な読み方ですね。777という数字自体を特別だとするのは正教系のキリスト教に古くからある考え方ですが、その場合は “triple-seven(トリプルセブン)” と読みます。

DearS ディアーズ

電撃コミックガオ!にて連載されていたPEACH-PITによる、DearS(ディアーズ)の英語版コミックです。全8巻。

DearS 英語版コミック

DearS 日本語オリジナル版

DearS 英語版

宇宙からやってきたUFOが不時着し、故郷に帰れなくなった宇宙人たちが暮らす地球。ディアーズと呼ばれる彼らは他者に依存していなければ生きていけない人種であった。そんなおり一人暮らしの生活をしている高校生の幾原武哉はディアーズの少女・レンが行き倒れているのを助けるために自室につれて帰る。すると彼女は武哉の事を「ご主人様」と呼び、そのまま武哉の家で暮らすことになる…という感じのSFラブコメディです。

なんとなくうる星やつらを彷彿とさせるような設定ですが、ギャグ要素よりもハーレム要素の方が強い感じですね。PEACH-PITならではのかわいらしいキャラクターたちが人気となりアニメ化とゲーム化もされました。

全8巻ということで英語初心者の方にはちょっと長い作品かも知れませんね。それでも少しづつ時間をかけて読んでいけば読破できないという程でもありませんので、初心者の方には無理という訳でもありません。英語版コミックを読みなれた中級以上の方ならすぐに読み終ってしまうでしょうか。