週刊少年サンデーで連載されていた高橋留美子によるうる星やつらの英語版コミックです。
※古い名作漫画の英語版にはよくある事ですが、この作品には1995年から発売された “The Return of Lum“(旧版) と 2019年から発売されてる “Urusei Yatsura“(新版:全17巻) という2つの英語版があるのでご注意ください。
どちらの英語版も発売元は VIZ Media で、新しい方はアニメリメイクに合わせる形で発売されたのかなと思わないでもないですが詳細は不明です。
新版の方は1冊につき約400ページ(日本のコミックの約2巻分)というボリュームで、全17巻で発売されています。旧版の方はほとんど在庫がないかあってもプレミア価格がついているので、これからうる星やつらの英語版を買いそろえようという方は新版の方を買った方が良いと思います。
うる星やつらの(特にヒロインであるラムの)ファンといえばオタクの代名詞であった時代もありましたが、最近ではそんな話すら懐かしく感じてしまう様になってしまいました。あの当時は日本のアニメや漫画がこんなに海外で受けいられるようになるとは思いもしませんでしたね。もちろん当時でもコアなうる星やつらの海外オタクがいるにはいましたが、今ほどではありませんでした。まあ裾野が広がっただけで本当にコアなファンは昔からさほど変わってないのかも知れませんが。
うる星やつらと言えば、日本のアニメ・漫画に特有の “何故かは解らないが主人公がやたらとモテる” というひとつの様式美を生み出した作品とも言えます。この作品は主人公の あたる に惚れてるのはラム一人なので、後のハーレム作品ほど多数の女キャラにはモテていませんが、核となる主人公の周りに複数の女キャラがいて、味付けとしてライバルの男キャラがいるという形はやはり後のハーレム作品の草分けといって差し支えないと思います。
最近では主人公以外の男キャラがむしろ主人公に好意をもっていたり、主人公以外の男キャラが登場しないなんていう風にハーレム状態がさらに強化された作品が多いのですが、うる星の あたる と面堂の様な 絶妙なセリフのやり取りが見られなくなったのは残念でなりません。
そんな話はともかく、海外ではこちらの公式英語版(新版)に対して以下のような感想が寄せられています。
“常に私の一番好きな漫画”:☆☆☆☆☆
うる星やつらは常に私の一番好きな漫画です。旧版の方を全巻持ってましたが、何年も前にどこかへ失くしてしまっていました。
なのでこちらの新版が発売されると知った時は、すぐに買わなくちゃと思って買い、そしてその事に満足しています。
何年かぶりに読むラムやチェリーやランやその他のキャラ達が巻き起こす騒動を見てると心が和みます。みなさんにもぜひおすすです!
“絶対に読むべき”:☆☆☆☆☆
長期に渡って連載された漫画の場合、たまに1巻や2巻を読み返すと、キャラクターのイメージが違っていたりするのが面白い。おそらく読者の反応を見て高橋先生が当初の予定から少し変更したのだと思うけど、うる星やつらは元々ラムではなく、あたるとしのぶの恋愛を中心に描くはずだったのだと思う。
もちろん私は純粋で優しいラムが大好きだけど(ヤキモチ焼きな部分は除いて)、初期のラムが後のラムよりずる賢く、品性に欠け、いじわるな性格だった事をみんな忘れてしまっている。
何が言いたいのかと言うと、私はこの初期のラムを見るのがとても楽しいという事だ。
それに初期の巻は高橋先生が最も多くの情熱を注いで描いたからか、絵から今でも生き生きとした躍動感が伝わってくる。
“古き良きSFドタバタコメディ”:☆☆☆☆☆
古い名作漫画のファンとして、うる星やつらの新しい英語版が発売されると知った時、私は少なくとも1巻だけは買って読んでみなくちゃと思いましたが、実際に読んでみてこんなにも物語に引き込まれるとは思っていませんでした。
友引町とそこで暮らす住人達は高橋先生の手によって、とても楽しいSFドタバタコメディを繰り広げています。ほとんどのエピソードは独立した物語ですが、読むごとにあたるとラムが次にどんな目に合うんだろうと期待してしまいます。
またこの新しい英語版の良い点として、”Data Files” という、作品を色々な面から解析した可愛らしい情報、たとえばラムが人間に電撃を放った回数は何回かなど、をまとめたページがある事です。
これらの短いコラムページがとても楽しいので、2巻以降の全ての巻で同じ様なページがある事を期待します。