少年漫画・その他」カテゴリーアーカイブ

サライ Sarai

ヤングキングで連載されていた、柴田昌弘によるサライの英語版コミックです、全19巻。

サライ Sarai 英語版コミック

サライ 日本語オリジナル版

サライ 英語版

サライというのは主人公の神薙サライという名前からとられたタイトルで、当たり前ですが有名なあの曲とはまったく関係ありません。「大災厄」によって文明が崩壊し、遺伝子学の暴走により人類は16歳を過ぎると異形の怪物に変貌してしまうという終末的な近未来を描いたSF作品です。主人公はなぜかメイド服を着て刀を振り回す美少女。この辺は一昔前の作品にありがちですが、それを徹底した世界観が好きだという人は結構多いと思います。

単行本は全19巻で終わっていますが、終盤は作者の急病や事故などもあいまってかなり駆け足で話が終わっており、読後に不完全燃焼な気分にさせられるかも知れません。そういうところもこの手のSF作品にはありがちなことだと言えますが、編集サイドの方でどうにかならないもんですかね。

七人のナナ Seven of Seven

週刊少年チャンピオンで連載されていた、原作 今川泰宏・作画 国広あづさによる七人のナナの英語版コミックです、全3巻。

七人のナナ Seven of Seven 英語版コミック

七人のナナ 日本語オリジナル版

七人のナナ 英語版

一人の身体に複数の人格が宿るいわゆる多重人格をモチーフにした作品は数多くありますが、人格とともに身体も7つに分かれてしまうっていう設定は他に類を見ませんね。もともとは同名のアニメ作品がオリジナルで、コミックはアニメをもとにしたコミカライズ版ですが、細かな設定が多少違っています。

全3巻というボリュームは英語版コミックに挑戦するにはちょうどよいですが、タイトルどおり7巻とはいかなかったところがちょっとおしいですね。もともとこの手のメディアミックス作品のコミカライズ版は2~3巻程度で終わることが多いですが、どうしても編集サイドのやっつけ仕事っぽい印象がぬぐえません。国広あづさ氏の作画もキャラクター原案の吉崎観音とまではいいませんが、もうちょっとがんばってもらいたいところです。

英語版は北米の翻訳漫画出版社の ADV Films から発売されています。

爆れつハンター Sorcerer Hunters

あかほりさとるによる原作小説を臣士れいが漫画化した爆れつハンターの英語版コミックです、全13巻。

爆れつハンター Sorcerer Hunters 英語版コミック

爆れつハンター 日本語オリジナル版

爆れつハンター 英語版

あかほりさとる氏の原作ということでちょっとしたお色気シーンがあるのはいうまでもないですが、スケベまるだしの主人公がやたらとモテまくるという設定が面白い作品でもあります。またファンタジーではおなじみの魔法使いを悪いことをしたら懲らしめるという、どこかの時代劇でみたことのあるような設定を持ち込んだところにあかほり氏ならではの発想がありますね。

原作小説、コミック、TVアニメ、OVA、ドラマCDとたぶんにもれずメディアミックスを展開し、それなりの人気を得ました。北米ではコミックが Tokyopop から、アニメは ADV Films から英語版が発売されています。英語版を13巻も購入するのは結構お金がかかりますが、とりあえず1~3冊程度試しに読んでみて、続けられるようなら全巻揃えちゃっても無駄にはならないでしょう。

ストレイリトルデビル Stray Little Devil

月刊電撃コミックガオ!で連載されていた、森小太郎によるストレイリトルデビルの英語版コミックです、全5巻。

ストレイリトルデビル Stray Little Devil 英語版コミック

ストレイリトルデビル 日本語オリジナル版

ストレイリトルデビル 英語版

小さい頃祖母から教わった魔法陣を使って「優しい悪魔」を呼び出そうとした女子中学生の阿久町ぱむ、しかし魔方陣が暴走して天魔界とよばれる天使と悪魔が住む世界に飛ばされてしまった。そこではなぜか親友の凛花そっくりな天使がいて、ぱむも悪魔になってしまい、悪魔研修生見習いパムとしての修行の日々が始まる…といった感じのお話です。ありがちなファンタジー作品ではありますが、ファンタジー世界でドジっ子が繰り広げるドタバタギャグコメディが好きな人は買いだと言えるでしょう。

英語翻訳版の出版は Dr. Master Productions Inc というあまり有名ではない出版社です。ファンの方は早めに買っておかないと潰れてなくなってしまうかも知れませんね。近年は本当に北米で中小出版社の倒産や事業撤退が相次いで英語版コミックファンとして悲しい限りです。

涼風 Suzuka

週刊少年マガジンで連載されていた、瀬尾公治による涼風の英語版コミックです、全18巻。

涼風 Suzuka 英語版コミック

涼風 日本語オリジナル版

涼風 英語版

バトル系漫画といえば昔からジャンプという感じですが、ラブコメ漫画といえばマガジンという感じになってきているような気がします。もちろんジャンプやサンデーのラブコメもよいですが、マガジン作家陣の描くラブコメはヒット作が多いですね。

涼風もそんなマガジンのラブコメ作品のひとつで、主人公はなぜか「女性専用マンション」に暮らすことになります。こういう設定がマガジンらしいといえばらしい所ですね。簡単にいってしまえばハーレム作品なのですが、少年誌にはめずらしくヒロインが妊娠するという結末はなかなか冒険的だと思います。

またこの作品はアニメ版の不人気さにもかかわらず英訳漫画の方は海外でもそれなりに人気がでましたが、北米では日本版のまま無修正で発売されたために、むこうの年齢基準にひっかかって「大人向け」として扱われてしまったそうです。

鉄コン筋クリート Black and White

ビッグコミックスピリッツに連載されていた、松本大洋による鉄コン筋クリートの英語版コミックです、全3巻。また鉄コン筋クリートの北米版アニメブルーレイもあります(※国コード規制に注意)。

鉄コン筋クリート Black and White 英語版コミック

鉄コン筋クリート 日本語オリジナル版

鉄コン筋クリート 英語版

個性的なタイトルですが、タイトルだけでなく作画・物語ともに実に個性的な作品です。こういう作品がたまにでると日本の漫画産業もまだまだ大丈夫と思えますね。英語版のタイトルの Black and White は二人の主人公クロとシロの名前からとったものでしょう。

なお同名のアニメ映画は海外でも高い評価を受け、第31回日本アカデミー賞最優秀アニメーション作品賞受賞・第26回国際アニメーション映画祭Anima2008 長編アニメーション部門グランプリ受賞・2007年モントリオール・ファンタジア映画祭 最優秀アニメーション賞受賞をはじめ多くの映画祭にノミネート・受賞をしています。とくにヨーロッパ方面で高い評価を得ていますね、向こうの人は北野武監督の作品も好きですしこういうの好きなんでしょうか。

なおこのページからリンクされている Amazonの検索結果のページでは2冊の Volume3 が表示されていますが、商品画像を拡大してみれば解るとおり、片方は Volume2(第2巻)です。Amazonではこういう登録ミスはよくありますので購入前には必ず確認をしてください。

トト! the wonderful adventure ToTo

少年マガジンで連載されていた、長田悠幸によるトト! the wonderful adventureの英語版コミックです、全5巻。

トト! the wonderful adventure ToTo 英語版コミック

トト! the wonderful adventure 日本語オリジナル版

トト! the wonderful adventure 英語版

英文字で TOTO と書かれるとどうしても便器を作ってる会社を思い浮かべてしまいますが、もちろんこの作品とはなんの関係もありません。主人公の名前がカカシ、ヒロインの名前がドロシー、カカシとドロシーの連れる犬の名前がトト、ということでオズの魔法使いのパロディですね。それだけでなくアリスという名前の少女もでてきて、まあストーリーはまったく別物なのであくまで名前を使ったというだけの話です。

ただディズニーで有名な二つの作品をモチーフにしているせいか、ストーリーがほぼオリジナルでも北米では「オズっぽい」という評価を受けたようです。それでもおおむね高評価だったみたいですが、少々微妙な感じがしますね。

英語版は北米の翻訳漫画出版大手の Del Rey から発売されています。

高校鉄拳伝タフ TOUGH

ヤングジャンプで連載中の、猿渡哲也による高校鉄拳伝タフの英語版コミックです。

高校鉄拳伝タフ TOUGH 英語版コミック

高校鉄拳伝タフ 日本語オリジナル版

高校鉄拳伝タフ 英語版

バトル系の少年漫画は数多くあれど、本格的な挌闘漫画は実は少ない。終盤にかけて非現実的な技の描写は増えますが、この作品はその数少ないひとつですね。最強の古武術である灘神影流の後継者に生まれた高校生・宮沢熹一がさまざま挌闘家と戦い、彼らの技を吸収しつつ成長していくというストーリーです。

骨太な作画とストーリーが海外の人々に人気がでそうなものですが、日本語オリジナル版が全42巻 + 続編が30巻以上でているという大作であるにも関わらず、英語翻訳版はいまのところ6巻までしか発売されていません。やっぱりマッチョな作品を見たければわざわざ日本の漫画でなくともアメコミを見るという感じなんでしょうかね。

英語版は北米の翻訳漫画出版大手の VIZ Media から発売されています。

タキシード銀 Tuxedo Gin

週刊少年サンデーで連載されていた、松浦聡彦によるタキシード銀の英語版コミックです、全15巻。

タキシード銀 Tuxedo Gin 英語版コミック

タキシード銀 日本語オリジナル版

タキシード銀 英語版

不慮の事故で浮遊霊となってしまった高校生プロボクサーの草薙銀次は、霊界の規則で動物に転生することになった。どうせ転生するなら一目ぼれの相手である佐世保美奈子が好きだというペンギンに生まれ変わろうということで、人生ならぬペンギン生を生きることになった銀次は水族館を抜け出して、美奈子のペットとして飼われることになる。といった感じのお話ですね。

この手の動物などに魂が乗り移る話は昔から多いですが、犬や猫でなくペンギンというのがこの作品の面白いところでしょう。海外での評価ですが、お話の設定やプロットは面白いと評価されながらも、キャラクターデザインの質については批判も受けたようです。

全15巻ということで英語で読むには結構なボリュームがありますが、手始めに1、2冊購入してみていけそうならば順に続きを買い足すという方法でやればいつのまにか全巻読破も可能でしょう。15冊も読めばかなりの英語力がついていると思います。

Y十M 〜柳生忍法帖〜 Yagyu Ninja Scrolls

山田風太郎による小説柳生忍法帖を、せがわまさきがコミック化したY十M 〜柳生忍法帖〜の英語版コミックです、ヤングジャンプにて連載、全11巻。

Y十M 〜柳生忍法帖〜 Yagyu Ninja Scrolls 英語版コミック

Y十M 〜柳生忍法帖〜 日本語オリジナル版

Y十M 〜柳生忍法帖〜 英語版

忍法帖といいながら忍法はまったくと言っていいほど出てこないこの作品ですが、ニンジャを期待して買った海外の人たちはどう思ったんですかね?話としては謀略を用いた駆け引きが多分に含まれているので、決して期待はずれではないと思いますが。

ところでこの作品は元々が山田風太郎による時代小説を元に漫画化したものですが、仇討ちという設定がとても懐かしく感じられます。か弱い女7人が仇討ちのために大名家に戦いを挑む上で剣豪 柳生十兵衛の助力を借りるという設定なのですが、今考えれば無茶苦茶なこの設定がまたなんとも良い感じがします。個人的には時代小説や時代劇などはこのくらいの方が良いと思います。最近の作品はどうも生真面目というか、作家さんが侍の亡霊にとりつかれているのではと思うほど面白味が無い。