げんしけん Genshiken

テレビアニメ化もされ大人気となった木尾士目によるげんしけんの英語版コミックと小説版の英語版ライトノベルです。コミックは全9巻。コミックは通常版とは別に、Kodansha Comics からおよそ3巻分を1冊にまとめたオムニバス版(Omnibus)も発売されています。また続編であるげんしけん 二代目やスピンオフ作品であるくじびきアンバランスの英語版コミックもあります。

げんしけん Genshiken 英語版コミック

小説 げんしけん 拝入蘭人の野望 Return of the OTAKU 英語版ライトノベル

げんしけん 日本語オリジナル版

げんしけん 英語版

この作品はオタク文化とオタクの生活を一定のフィクションを交えながらも、ある意味リアルに描いた作品として(主にオタクの間で)話題となりましたね。フィクションの部分はあえて言わずとも解るでしょう、そういうところに突っ込んだら負けかなと思います。オタクというか一定の方向に個性的なキャラクター達がサークルや部活をやっているという雰囲気は ゆうきまさみ の 究極超人あ~る みたいな感じがしますね。

そんなわけで海外でもこの作品は一部のコアな層に相当受けたみたいです、もちろん一般ウケはしなかったでしょうが。オタクでなくとも自分の趣味や好きな事を共に楽しみ語りあう仲間がいるというのは素晴らしい事だと思います。この作品を読んだ海外の人たちが げんしけん の様なサークルを作ったりしたら素敵だと思います。

BASARA バサラ

少女コミックでありながら架空戦記ものという異色のストーリーで非常に高い評価を受けアニメ化もされた、田村由美によるBASARAの英語版コミックです。全27巻。

BASARA バサラ 英語版コミック

BASARA 日本語オリジナル版

BASARA 英語版

上述の通り少女コミックでありながら架空戦記ものというある種冒険的な試みが功を奏して人気となりました。終盤の方では更紗と朱理の恋愛と葛藤を描いて少女コミックらしいストーリーも展開させるなど、少年コミックの戦記ものとの差別化もきちんとされています。

個人的に最も冒険したなあと思われるのは、主人公の思い人である朱理をつるっつるのハゲ頭にした事です。おそらくは赤の王としてのこれまでの残虐な行いを反省するためにハゲ頭にしたのでしょうが、少女マンガでこれをやるのは相当冒険だったのではないでしょか、よく編集さんがOKを出しましたね。普通に考えれば大勢の命を奪った罪がハゲ頭にしたくらいで許されるとは到底思えませんが、重い十字架をずっと背負わせていくとハッピーエンドにはなり得ませんので苦渋の決断だったのでしょう。

ARIA & AQUA

独特のゆったりした雰囲気が良い癒しの漫画、天野こずえによるARIA アリアAQUA アクアの英語版コミックです。ARIA全12巻、AQUA全2巻です。またARIAの北米版アニメDVDもあります(※リージョンコードに注意)。

ARIA アリア 英語版コミック

AQUA アクア 英語版コミック

ARIA 日本語オリジナル版

ARIA 英語版

海外で好まれる漫画といえばジャンプ系のバトル漫画が中心なのですが、近頃ではこの作品のような静かな雰囲気のある漫画も静かな人気を得ています。天野こずえによる美麗な絵と愛らしいキャラクターは日本人だけでなく世界中の人を癒しているようです。

また作品の世界は架空の近未来の「ネオ・ヴェネツィア」という都市を舞台にしていますが、もちろんこれは実在のヴェネチィアを参考にしたものです。漫画とアニメの両方が英訳されて英語圏で発売・放映されている他に、イタリア語に翻訳されてイタリアで発売・放映されていますので、ぜひ現地の人たちの感想を聞いてみたいものです。

さて英語版ですが、ARIA の方は最初 Adv Films という出版社から第3巻まで発売された所で続刊が発売されなくなってしまい、その後翻訳漫画出版大手の Tokyopop にライセンスが移動して、そちらから第1巻から第6巻まで英語版が発売されています。しかし不運というか何と言うかそこまでリリースした所でこの Tokyopop が北米での翻訳出版事業から撤退してしまった為に、第7巻以降の発売の可能性は現時点ではほとんどありません。AQUA の方はこれもまた Tokyopop から全2巻の英語版が発売されています。

風の谷のナウシカ Nausicaa of the Valley of the Wind

世界にとどろく宮崎駿監督の名作、風の谷のナウシカの原作コミックの英訳本です。漫画とはいえ宮崎駿監督ならではの緻密な書き込みが圧倒的です。全7巻。また風の谷のナウシカのアニメブルーレイには日本語音声の他に英語音声も収録されています。

風の谷のナウシカ Nausicaa of the Valley of the Wind 英語版コミック

風の谷のナウシカ 日本語オリジナル版

風の谷のナウシカ 英語版

風の谷のナウシカのアニメ映画は知らない人はあまりいないと思われますが、原作コミックの方を読まれた方ってどれくらいいるんでしょうかね?アニメ映画に比べて内容も深く濃いものとなっており、良く言えば宮崎駿監督が本当に描きたかった世界観があます事なく描かれており、悪く言えば当時オタクの間で流行していたファンタジー漫画のむやみやたらに壮大な世界観を受け入れがたい作品でもあります。才能のありすぎる人に好き勝手やらせると一般の人間はなかなかついていけません。

Amazonのページを見てみると解ると思いますが、この作品も古くから人気があるためか、北米の翻訳漫画出版大手の VIZ Media から複数のバージョンが発売されています。別にどのバージョンを選んでも良いと思いますが、商品在庫や価格から考えれば2004年に発売された最新バージョンを買うのが良いでしょうね。上のリンクのAmazonの検索結果ページで「出版年月が新しい順番」にすると最新版が探しやすいかと思います。

またまとめ買い・プレゼントに最適なBOX SETもあります。こちらは7巻分の内容を2冊の大きな本にまとめたオムニバス版のBOX SETとなっています。
Nausicaa of the Valley of the Wind Box Set

BLEACH ブリーチ

アニメ化もされ大人気となった少年ジャンプで連載中の久保帯人によるBLEACHの英語版コミックです。

BLEACH 英語版コミック

BLEACH 日本語オリジナル版

BLEACH 英語版

日本でも大人気で単行本の売り上げが累計6000万部以上に達しているそうですが、海外でももちろん大人気で北米での英語版の売り上げは累計120万部に達しているそうです。この120万部という数字は日本での売り上げと比べて少ないように思われるかも知れませんが、英訳漫画の市場規模から言えばBLEACHがいかに北米で人気であるかが解ります。そして日本国内での漫画の売り上げがいかに多いかという事にも同時に気づかされますね。

それにしてもジャンプ系の漫画の人気は強いですね。ジャンプ系ならではの作風もありますが、やはり長編アニメ化される事は原作漫画の人気や売り上げに相当な影響を与えるような気がします。最近ライトノベル作品が数クール程度でアニメ化される事も多いですが、インターネットの普及の影響なのかオリジナルアニメを作ってもDVDがあまり売れないので、原作漫画やライトノベルといった紙媒体の売り上げで制作費をペイするのがアニメ製作の主流となってきてるのかも知れませんね。そういった作品の影響もあるのか、ライトノベルの英語版も海外で売られるようになってきています。

さて BLEACH の英語版ですが、北米の翻訳漫画出版社大手の VIZ Media より日本版と同じ形式の通常版と、およそ3巻分を1冊にまとめた 3-IN-1 Edition が発売されています。3-IN-1 Edition は分厚いので多少読みにくい点もありますが、単行本を買い揃えるなら大抵こちらの方が安いです。

またまとめ買い・プレゼントに最適なBOX SETもありますので、目的や予算にあわせて選ばれると良いでしょう。
Bleach Box Set 1: Volumes 1-21 with Premium
Bleach Box Set 2: Volumes 22-48 with Premium

めぞん一刻 Maison Ikkoku

懐かしい名作、高橋留美子のめぞん一刻の英語版コミックです。

めぞん一刻 Maison Ikkoku Collector’s Edition(新版) 英語版コミック

めぞん一刻 日本語オリジナル版

めぞん一刻 英語版

※古い名作漫画の英語版にはよくある事ですが、この作品には2003年から全15巻で発売された旧版と 2020年から全10巻で発売された “Maison Ikkoku Collector’s Edition“(新版) という2つの英語版があるのでご注意ください。旧版はほとんど在庫がないみたいなので、上のリンクは主に新しい方のバージョンが表示されるようにしてあります。

SFやオカルト的なコメディを描く事の多い高橋留美子としては異色な作品かも知れませんね。でもそれはコメディの基本が人間同士のドラマであり、作者がそれを描き出す事にかけて秀逸な能力を持っている事を証明した作品ではないかと思います。

そんな日本的な人間ドラマ、または人情話のテイストが溢れるこの作品ですが、海外での評価はやはり他の代表作に比べると高くない印象を受けます。高橋留美子のコアなファンともなればこの作品をイチオシで気に入る方もおられるようですが、やはり少年マンガ的なバトルや格闘に恋愛風味を少々足したテイストが海外では好まれるのかも知れませんね。

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幽遊白書 Yuyu Hakusho

懐かしいと思う方は多いのではないでしょうか、少年ジャンプで連載されて大人気となった冨樫義博による幽遊白書の英語版コミックです。全19巻。英語リスニング力を強化したい方には、幽遊白書の北米版アニメブルーレイもあります。

幽遊白書 Yuyu Hakusho 英語版コミック

幽遊白書 日本語オリジナル版

幽遊白書 英語版

幽遊白書といえば最後の方は完全にバトル漫画になっていましたが、初期の方はわりと霊界とか死後の世界とかの話をしていましたね。日本人やアジアの人たちは仏教的なそういう世界観を特に宗教的な事を意識する事なく受け入れられると思うのですが、キリスト教圏やイスラム教圏の人たちはどんな印象を受けるんでしょうか。ちなみにコエンマの父親である閻魔大王のオリジナルは、バラモン教の聖典であるリグ・ヴェーダに登場する最初の人間にして最初の死者、つまり先のキリスト教やイスラム教におけるアダムの様な存在です。そんな雑学を海外の幽遊白書ファンの方に教えてあげると喜ばれるかも知れませんね。

そういう話はさておき幽遊白書はもちろん海外でも漫画・アニメともに大人気となりました。一時はドラゴンボールと並び評されるくらいの人気だったそうです。日本でも男の子だけでなく女の子にも好評となった事から、幅広い層のファンを獲得する何かがこの作品にはあったのでしょうね。今あらためて読んでもまったくその魅力は失われていません。

MONSTER モンスター

ビッグコミックオリジナルにて連載されていた、浦沢直樹によるMONSTER(モンスター)の英語版コミックです。全18巻。

MONSTER モンスター 英語版コミック

MONSTER 日本語オリジナル版

MONSTER 英語版

英語版コミックの英題は “Naoki Urasawa’s Monster” ともされていますが、これはメアリー・シェリーによるゴシック小説の名作 “フランケンシュタイン、あるいは現代のプロメテウス” に登場する “フランケンシュタインの怪物 / Frankenstein’s monster” を意識したものでしょう。実際にこの作品にはフランケンシュタインの強い影響が見られます。ドクターテンマがフランケンシュタイン博士で、ヨハンが博士が生み出してしまった怪物というわけです。作中に登場する「名前のない怪物」という表現も、フランケンシュタイン博士が怪物に最後まで名前を与えなかった事と一致します。ヨハンや怪物が生み出されたのも、”完璧な人間” 作ろうとした結果だという点もよく似ていますね。

さてそんなイギリスの古典小説の影響が強くみられる Monster は、英語で読むとさらに作品の雰囲気にマッチします。Monster の舞台がドイツを中心に繰り広げられていますので、ドイツ語で読んでも雰囲気に合うと思います。

バガボンド Vagabond

吉川英治の「宮本武蔵」をベースに独特の筆致で描かれた井上雄彦によるバガボンドの英語版コミックです。タイトルのバガボンド=Vagabondは英語で放浪者とか無宿人とかいう意味です。

バガボンド Vagabond 英語版コミック

バガボンド 日本語オリジナル版

バガボンド 英語版

日本の漫画作品には時に単なる娯楽作品の枠を超えた芸術とも呼べる作品がありますが、この作品は色々な意味で芸術と呼べる作品だと思われます。特にストーリー部分の文学性を歴史文学の大家である吉川英治に求め、井上雄彦が筆での執筆という冒険的な試みが独特の世界観を作り出しています。もちろんストーリー部分でも井上雄彦独自の解釈と変更がなされていますが、あえて完全オリジナルの武蔵を作り出そうとしなかった所に、日本ならではの職人気質のようなものを感じます。

そんな作品であるバガボンドは、海外でももちろん高い評価を得ています。他のアニメや漫画でスーパーマン的な表現がされがちなサムライや武士にも、人間としての苦悩や葛藤があるのだと考えさせられる点がとても良いと思います。この作品とてもフィクションである事に違いはないですが、最近では人間的なサムライが描かれる事が少なくなっているようなので(実写映画作品では逆に増えていますね)、人間的なサムライや忍者がもっと描かれるようになってくれればと思います。

さて英語版ですが、この作品の北米での人気を反映しているのか、翻訳漫画出版大手の VIZ Media から通常版のコミックの他に、数巻分を1冊にまとめた VIZ BIG Edition とさらに通常版を若干修正した 2nd Edition なるバージョンも発売されています。どのバージョンを選ぶかはお好みで良いと思いますが、購入される時は商品の説明をよく確認するようにしてください。

あずまんが大王 Azumanga Daioh

月刊コミック電撃大王にて連載されていた、あずまきよひこによる学園4コマ漫画のあずまんが大王の英語版コミックです。全4巻。

あずまんが大王 Azumanga Daioh 英語版コミック

あずまんが大王 日本語オリジナル版

あずまんが大王 英語版

萌え四コマ作品の先駆けともいえるこの作品ですが、日本だけでなく海外でも結構良い評価を得たようです。海外の人たちというとどうしてもチャンバラとかバトル系アクションが好きな印象が強いのですが、やはり一部にはのんびりまったりとした作品に癒されるような一面があるのかも知れませんね。

全4巻というボリュームも英語で漫画を読むにはちょうど良い感じですので、個人的におすすめな作品です。1冊や2冊だと英語に慣れるにはちょっと物足りない感じですし、10冊前後となるとちょっと大変です。やはり4冊~6冊程度の作品から入った方が良いと思っております。あとストーリー性の少ない4コマという点もおすすめポイントですね。長いセリフはまずありませんし、たとえ難しい単語やセリフを読み飛ばしたとしても、作品全体をちゃんと楽しむ事ができるからです。