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Yōkaiden 妖怪伝

今回紹介するのは日本の漫画の英語版ではありません。日系カナダ人の漫画家、Nina Matsumoto氏による英語で書かれた日本式漫画(Original English-language Manga)、Yōkaiden(妖怪伝)です。

Yōkaiden 妖怪伝 オリジナル英語版

Yōkaiden 妖怪伝

多くの人々が妖怪を恐れ、なかには妖怪を狩る者も存在する世界。しかし少年、Hamachi は妖怪と人間は仲良く共存できるはずだと信じていた。ある日彼の祖母が謎の死をとげ、それを妖怪の仕業と思った Hamachi は祖母の魂を返してもらいに妖怪の国へ行き、そこで鬼や河童や化け提灯などの妖怪たちと出会うのであった。果たして Hamachi は無事に祖母の魂を返してもらい、元の世界に帰れるのであろうか…という感じの作品です。

登場する妖怪達は日本の民俗伝承や水木しげる氏の漫画でも有名なものばかりで、日本人が読んでも違和感はあまり感じないというか、妖怪について基礎的な事から一から説明される下りが逆に新鮮に感じました。作風は日本の少年漫画のパターンに忠実でいながら、うまく言えないのですがどこか微妙にテイストが違っていて、やはりこれも新鮮に感じましたね。

さて、上述の通りこの作品は英語で書かれた日本式漫画、現地では Original English-language Manga(あるいは OEL Manga) と呼びますが、まだ数はそれほど多くは無いものの、少しづつこの手の作品が発表されています。日本の漫画やアニメを見て育った世代の漫画家さんたちが、海外で着々と育ちつつあるという事でしょうね。ただ残念ながらまだ作品のレベルはピンキリと言った所で、特に作画のレベルが酷い作品も結構あります。この作品はそんな中でも高い評価を受けて数々の賞を受賞した作品で、作画も日本の漫画誌で連載していても遜色の無いレベルに仕上がっています。日本漫画の英語版を読み飽きたという方は、オリジナル英語版の Manga に挑戦してみてはいかがでしょうか。

爆裂天使 Burst Angel

GONZOの制作による同名のテレビアニメ作品を、ムラオミノルの作画により漫画化した爆裂天使の英語版コミックです。月刊電撃コミックガオ!にて連載、全3巻。英語リスニング力を強化したい方には、爆裂天使の北米版アニメブルーレイもあります。

爆裂天使 Burst Angel 英語版コミック

爆裂天使 日本語オリジナル版

爆裂天使 英語版

治安が非常に悪く銃の所持が合法化されている21世紀の東京。そんな無法地帯で裏の仕事を請け負う少女たちがいた…そんな感じのサイバーパンク作品です。良く言えば王道、悪く言えばありがちな設定で、この手の作品が好きな人の期待は裏切らないと思います。なお漫画版には “Angel’s Adolescence” というサブタイトルがついていますね。内容としてはテレビアニメシリーズよりも過去のお話を題材としているようです。

全3巻ということで英語版コミック初心者の方にも最適な長さですが、上述の通りテレビアニメシリーズとは内容に違いがありますので、漫画版をまだ読んだ事が無いという方はできれば日本語オリジナル版と併せて購入した方が物語の理解が楽となるでしょう。

殲鬼戦記ももたま Momo tama

月刊コミックブレイドにて連載されていた、黒乃奈々絵による殲鬼戦記ももたまの英語版コミックです。

殲鬼戦記ももたま Momo tama 英語版コミック

殲鬼戦記ももたま 日本語オリジナル版

殲鬼戦記ももたま 英語版

日本の昔話のヒーローである桃太郎の子孫が統治する本土から隔離された桃源島。そこには鬼を退治する能力を持つ「殲鬼師」を養成する桃源殲鬼学校というのがあった。ある日、その学校に鬼の子孫を名乗る9歳の少年、陸奥九世が一年生として入学してくるのだが…という感じのファンタジー作品です。某有名魔法学校の映画の大ヒットの影響か、この手の特殊能力養成学校モノというジャンルが確立したような感のある昨今ですが、桃太郎と鬼の子孫というキャラクター設定は実に面白いですね。

この作品は上述の通り月刊コミックブレイドにて連載を開始し、第6巻まで単行本をリリースしたところで2009年の夏に休載となってしまいました。その後、2011年秋から WEBコミック Beat’s というWEBコミック誌で連載を再開したということですが、こちらの連載分が英訳されるかどうかはまだ未知数です。

神様家族 Kamisama Kazoku

桑島由一による同名のライトノベルを、たぱりによる作画で漫画化した、神様家族の英語版コミックです。月刊コミックフラッパーにて連載、全5巻。

神様家族 Kamisama Kazoku 英語版コミック

神様家族 日本語オリジナル版ノベル&コミック

神様家族 英語版

神様と女神様を両親に持ち、将来は神様になる予定の神山佐間太郎は過保護な父親の奇跡のおかげで人間界で何不自由なく暮らしていた。そのおかげで我が儘な性格になってしまい、お目付け役天使のテンコに説教をされる毎日を無気力に送っていた佐間太郎だったが、ある日クラスに転校してきた小森久美子に一目ぼれしてしまう。初めての恋を父親に頼らず自分の力で成就させたいと思うのであった…という感じの学園ラブコメ作品です。

上述のとおりこの作品の漫画版は全5巻ではありますが、英語版は第2巻までリリースしたところで発売が止まってしまっています。出版元の Go! Comi は2010年に事業停止になっていまいましたので、非常に残念ではありますが続刊がリリースされる可能性は極めて低いでしょう。

海獣の子供 Children of the Sea

月刊IKKIにて連載されていた、五十嵐大介による海獣の子供(かいじゅうのこども)の英語版コミックです。全5巻(予定)。

海獣の子供 Children of the Sea 英語版コミック

海獣の子供 日本語オリジナル版

海獣の子供 英語版

ハンドボール部に所属している女子中学生・安海琉花は楽しみにしていた夏休み初日にトラブルを起こしてしまい、部活に参加できなくなってしまう。落ち込んだ琉花はシューズを買うはずだったお金で東京に行き、夜の東京湾で魚と交感することのできる不思議な少年「海」と出会う。その翌日、父親の勤務する水族館で海と再会した琉花は父から海の世話を頼まれ、海の双子の兄「空」とも出会った琉花の長い長い夏休みが始まるのであった…という感じの作品です。第38回日本漫画家協会賞優秀賞、第13回文化庁メディア芸術祭マンガ部門優秀賞受賞作品。

この作品は2011年秋に連載を終了していますが、単行本はまだ4巻までしか発売されていません。担当編集者のブログで確認したところ最終巻である第5巻が2012年夏に発売予定ということで、ファンの方は発売が待ち遠しいことでしょう。掲載誌が少しマイナーであるということもあって、あまり有名ではないこの作品ですが、各漫画賞を受賞したりAmazonなどのレビューでも高評価で、知る人ぞ知る名作といった感じです。物語も長すぎず短すぎず、英語で読むにはちょうど良いのでこの機会に日本語オリジナル版とあわせて英語版を買い揃えられてはいかがでしょうか。

火災調査官ナナセ Fire Investigator Nanase

週刊コミックバンチにて連載されていた、原作:橋本以蔵・漫画:市川智茂による火災調査官ナナセの英語版コミックです。全7巻。

火災調査官ナナセ Fire Investigator Nanase 英語版コミック

火災調査官ナナセ 日本語オリジナル版

火災調査官ナナセ 英語版

現実の日本では火災調査官ではなく、火災調査員(火災原因調査員)と呼ぶらしいですが要するに火災が起きたときの原因を探るお仕事ですね。幼い頃に両親を火災で亡くした新人火災調査官の高峰奈菜瀬は伝説の放火犯「炎使い」の素顔を見てしまったことによって、炎使いから火災原因解明のアドバイスを受けるようになり、数々の何事件を解決していくというストーリーです。なかなか珍しい職業設定が興味を惹かれる作品です。

上述のとおりこの作品は全7巻ではありますが、英語版は第4巻までリリースしたところで発売が止まってしまっています。出版元のCMXは2010年7月に事業停止になっていまいましたので、非常に残念ではありますが続刊がリリースされる可能性は極めて低いでしょう。

BIOMEGA バイオメガ

週刊ヤングマガジンで連載を開始した後、ウルトラジャンプに掲載誌を移して連載された、弐瓶勉によるBIOMEGA(バイオメガ)の英語版コミックです。全6巻。

BIOMEGA バイオメガ 英語版コミック

BIOMEGA 日本語オリジナル版

BIOMEGA 英語版

時は西暦3005年、7世紀ぶりに火星への有人飛行を成し遂げた探査船乗組員は、すでに廃墟と化したかつての入植地で一人の女性を発見する。しかし探査船は地球への帰還途中の地球軌道上で大破し、乗組員は未知のウイルスに感染してしまっており、軌道上からそのウイルスを撒き散らし続けることとなる。東亜重工製の合成人間である主人公の庚造一(かのえぞういち)は、バイオハザードで混乱する洋上の人工島「9JO」に乗り込み、ウイスル唯一の適応者イオン・グリーンを保護する使命を与えられる…という感じのSFアクション作品です。表紙の絵やストーリーからも解るとおり若干暗い感じのある作品で、この手の作品が好きな人は期待して間違いはないかと思います。

全6巻ということでそれほど長い作品ではなくセリフもあまり多くないのですが、SF作品だけに若干難しい用語や固有名詞がでてきますので、その辺が難しいといえば難しいでしょうか。

クロザクロ Kurozakuro

週刊少年サンデーで連載されていた、夏目義徳によるクロザクロの英語版コミックです。全7巻。

クロザクロ Kurozakuro 英語版コミック

クロザクロ 日本語オリジナル版

クロザクロ 英語版

人の痛みが解る心優しい性格が災いしていじめられる日々を送る高校生の桜井幹人は、ある日突然謎の種が体内に入り夢の中でザクロという子供に出会い望みを聞かれる。そこで「強くなりたい」と願った幹人は翌日から身体能力が向上し、さらには人間を食料のように感じるようになってしまう。これは幹人が傀牙(オーガ)と呼ばれる人を食う鬼となる前兆であった…という感じの作品です。解りやすく言うと最近ではめずらしい、強くなった自分に苦悩するタイプのダークヒーローですね。すかっと爽快なバトル漫画を読みたいという方には向かないかも知れませんが、こういう作品もたまに読むと良いものです。

英語版は VIZ media から全7巻が発売されています。じっくり英語版コミックを読んでみようというにはちょうど良い長さではないでしょうか。

獣神演武 Hero Tales

ガンガンパワードで連載を開始し、その後月刊少年ガンガンに掲載誌を写して連載された、原案:黄金周・シナリオ:社綾・作画:荒川弘による獣神演武の英語版コミックです。全5巻。

獣神演武 Hero Tales 英語版コミック

獣神演武 日本語オリジナル版

獣神演武 英語版

中国大陸?を舞台にした武侠小説を漫画にしたような作品です。日本でも人気の高い水滸伝とか三国志とかをさらにエンターテイメント性を高めたような感じの作品といえば伝わりやすいでしょうか。東アジアでは日本でいうところの時代劇みたいな位置づけで、大衆娯楽としてとても解りやすい勧善懲悪のストーリーが展開されます。

この作品は鋼の錬金術師で大ヒットを飛ばした、荒川弘氏が作画という事で同作のファンの方がたくさん読まれたようですが、原案やシナリオが別の方ということもあって、必ずしも氏のファンから高評価を得たというわけでもないようです。ファンタジー要素は共にあるとは言っても、方向性はかなり違うので同作のような雰囲気を期待して買うとがっかりするかも知れませんね。しかし実に少年漫画らしい作品であることも確かなので、昔ながらの王道的な少年漫画を読みたいという方にはぴったりのような気がします。

テガミバチ Tegami Bachi

ジャンプ各誌での連載を経て現在はジャンプスクエアにて連載中の、浅田弘幸によるテガミバチの英語版コミックです。またテガミバチの北米版アニメDVDもあります(※リージョンコードに注意)。

テガミバチ Tegami Bachi 英語版コミック

テガミバチ 日本語オリジナル版

テガミバチ 英語版

夜が明けることのないアンバーグラウンド。首都を照らす人口太陽の光も届かない暗闇の地に、人々の「こころ」がこめられた「テガミ」を命を賭して届ける危険な任務に携わる、「テガミバチ」と呼ばれる人々がいた。7歳のときに母親と生き別れた少年・ラグ・シーイングは、テガミバチのゴーシュに「テガミ」として新しい育ての親の元へ届けるられることになる。その時にゴーシュとテガミバチという職業に憧れの気持ちを抱いたラグは、最高のテガミバチ・「ヘッドビー」を目指すことを決意するのだった…という感じのファンタジー作品です。

アニメ化もされたのでそちらで知っている方も多いかもしれませんね。ジャンプのファンタジー作品にしては空気感があるというか、静謐な雰囲気を持った作品だと思います。

英語版も順調に翻訳されて発売されています。現在のところ第6巻までリリースされていますが、今後も定期的に続巻が発売される予定なので、これを機にこの作品の英語版を買い集めてみるというのも良いのではないでしょうか。