ハヤカワSFシリーズJコレクションから発売されている伊藤計劃による長編SF小説、ハーモニーの英語版ノベルです。虐殺器官の英語版もあります。
21世紀初頭に発生した全世界規模の騒乱・大災禍(ザ・メイルストロム)、米軍より核弾頭が世界各地に流出して使用され、その影響を受けて突然変異を起こしたウィルスが人類の健康に深刻な被害をもたらしたのだった。その大災禍の後に生まれた統治機構・生府(ヴァイガメント)は構成員の健康を至上の目的とし、人々は健全で長命でいる世界を実現した。そして人々の健康に悪影響がでないように監視するWHO螺旋監察事務局に勤める霧慧トァンは、少女時代に幼なじみ二人と共に餓死による自殺未遂を起こし、その内の一人・御冷ミァハだけが死んでしまった過去を持つ。あれから13年、ともに生き残ったはずのもう一人の友人・零下堂キアンが目の前で自殺を遂げ、一人だけ生き残ったトァンの心には死んでいった友人の影がさし始めるのだった…という感じの作品です。
原作は第40回星雲賞長編部門賞および第30回日本SF大賞受賞。英語版も2010年フィリップ・K・ディック記念賞特別賞(アメリカにおけるSF作品の文学賞)を受賞した名訳です。ユートピアとディストピアを扱ったいわゆるセカイ系、少女同士の友情を描いた百合の要素があるという事で、ラノベファンの方にも読みやすい作品だと思います。今現在はどうなったか解りませんが、過去には百合系漫画誌・コミック百合姫にて漫画化されるという予定もあったようですね。
英語版は北米の翻訳漫画出版社大手 VIZ Media のノベルブランド Haikasoru より、ハーモニーがペーパーバックで全300ページ、虐殺器官のペーパーバックが全272ページで発売されています。またそれぞれキンドル版の購入ができる様ですのでそちらを買われても良いかと思います。