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ブッダ Buddha

手塚治虫が人間・ブッダを描いたもうひとつのライフワークとも言える作品、ブッダです。全8巻。(日本語版文庫は全12巻。)

ブッダ Buddha 英語版コミック

ブッダ 日本語オリジナル版

ブッダ 英語版

仏典をもとにブッダ(お釈迦様、ゴータマ・シッダールダ)の生涯を描いているのですが、聖人としてのブッダではなく、より人間らしく苦悩するブッダを描いています。

およそ平均的な日本人は諸外国の人々に比べて自分が特に信仰心を持っていないと思っているふしがありますが、それでも長年日本で培われてきた精神文化というのは受けついでいるものです。その中でも仏教は日本人の死生観・人生観に大きな影響を与えていることは間違いないと思います。そんな自分のルーツを探るというと少々おおげさな気もしますが、仏教の教祖であるブッダの人生をフィクションをまじえて人間ドラマとして描いたのがこの作品です。

なおこの作品は上述のとおり仏教の教祖であるブッダを描いているのにも関わらず、仏教的な描き方はされていません。たとえば仏教国の信仰深い人などが読むと、「こんな人間みたいなブッダはブッダじゃない」と批判される事も多いみたいです。ちょっと難しい事を言いますと、仏教の経典つまり仏典にはお互いに矛盾した内容が結構あります。多くの時間をかけて時代とともに変化を加えつつ成立したからですが、仏教ではそれらをすべて「ブッダが一人で説いた」、「内容に矛盾があるのは弟子達を悟りへ導くための方便だ」という解釈をするのが普通です。しかし手塚氏はそれらの矛盾を「悟りを開いた後も苦悩するブッダ」という仏教的にはほとんどありえない解釈によって人間ブッダを描いています。それをどう評価するかは人それぞれだと思いますが、自分が仏教徒だとは意識していない多くの現代日本人にとってはより共感しやすいのではないでしょうか。

さてこの作品ですが、英語で読むのは結構難しいと思いますので英語版を無理におすすめはしません。英語学習のためというより、日本人としての自分を再確認するという意味でも、まだ読んだことの無い人には日本語版でも良いので一度読んでもらいたいですね。

リボンの騎士 Princess Knight

漫画の神様、手塚治虫によるリボンの騎士の英語版コミックとバイリンガル版コミックです。バイリンガル版は日本語と英語の両方のセリフが書かれていて、洋書初心者にやさしく読めるようにできています。英語版コミックは全2巻。バイリンガル版は全6巻です。

リボンの騎士 Princess Knight 英語版コミック

リボンの騎士 バイリンガル版

リボンの騎士 日本語オリジナル版

リボンの騎士 英語版

戦後少女漫画の先駆けとも言える作品ですね。この頃は巨匠と呼ばれる漫画家の人々が、少年漫画を描くかたわら少女漫画も執筆していました。それらを読んで育った世代が現在では女性漫画家の大家として君臨し、さらにそれらを読んで育った現在一線で活躍している女性漫画家の方の中には、少女漫画を描くかたわら少年漫画を執筆されている方もいますね。

漫画の神様と呼ばれる手塚治虫もストーリー性のある少女漫画を描くにあたっては手探り状態だったのでしょうか、いわゆる手塚ワールドに当時から女性たちに人気であった宝塚の要素を入れるという試みがこの作品ではなされました。男装の麗人のサファイア、おもえば活動的な女性を描いた漫画作品も国内ではこのリボンの騎士が初めてだったのではないでしょうか。

なおバイリンガル版に翻訳されているのは、なかよしで連載されていたいわゆる “なかよし版” です。講談社のバイリンガルコミックシリーズはたいてい途中の巻までしか発売されないのですが、この作品に関しては物語の最後まできちんと出版されています。お子様から大人の方まで幅広く英語学習に役立てることできる作品だと私は思います。

火の鳥 Phoenix

漫画の神様、手塚治虫の不朽の名作。人間の業と生と死を描いた火の鳥の英語版コミックです。一部を除いてほとんどが一巻完結なので英語版コミックの入門用として良いかと思います。また珠玉の名作なので日本語版もぜひ揃えたいものです、セットでの購入をオススメします。

火の鳥 Phoenix 英語版コミック

火の鳥 日本語オリジナル版

火の鳥 全13巻セット 日本語版

火の鳥 英語版

この作品がいかに素晴らしいかは、ぜひ読んでみてくださいとしか言えません。多少難しいテーマを扱っているので気楽に読める娯楽作品という感じではありませんが、日本人の根底に流れる死生観を見事に描いているので、じっくり読んで思索にふけるにはもってこいの作品です。

最近知ったのですが、この作品は未完なのですね。ひとつひとつのお話が見事に完成されているので、まだ未完成だったなんてこれまで思いもしませんでした。ちなみに予定されていたお話としては、日中戦争の頃の中国を舞台にした “大地編”、不死のロボットとしての鉄腕アトムの外伝を描く “アトム編”、そして完結編となる “現代編” の三作があったそうです。中でも完結編はぜひ読みたかったですね。

この作品の英語版の出版が完了したのはつい最近の2008年の事です。出版の都合上日本のオリジナル版とは、巻ごとの収録話が違うので以下に見やすい表を作りました。

  • Vol.1 Dawn – 黎明編
  • Vol.2 Future – 未来編
  • Vol.3 Yamato / Space – ヤマト編 / 宇宙編
  • Vol.4 Karma – 鳳凰編
  • Vol.5 Resurrection – 復活編
  • Vol.6 Nostalgia – 望郷編
  • Vol.7 Civil War, Part 1 – 乱世編
  • Vol.8 Civil War, Part 2 / Robe of Feathers – 乱世編 / 羽衣編
  • Vol.9 Strange Beings / Life – 異形編 / 生命編
  • Vol.10 Sun, Part 1 – 太陽編
  • Vol.11 Sun, Part 2 – 太陽編
  • Vol.12 Early Works – 初期短編集