エマ Emma

コミックビームで連載されていた、森薫によるエマの英語版コミックです。本編7巻 + 番外編3巻、合計全10巻(CMX版)。また英國戀物語エマの北米版アニメDVD(※リージョンコードに注意)や、シャーリーの漫画の英語版もあります。

エマ Emma 英語版コミック(YenPress版)

エマ Emma 英語版コミック(CMX版)

エマ 日本語オリジナル版

エマ 英語版

19世紀、ヴィクトリア朝時代のイギリス。裕福な貿易商の跡取り息子として生まれた若き紳士のウィリアム・ジョーンズは、幼少期の恩師で現在は引退生活を送っているストウナー夫人の家を訪ね、そこでメイドとして働くエマに一目惚れをしてしまう。エマの方もウィリアムの熱心なアプローチを受けるうちに次第に彼の事が好きになっていくのだが、二人の関係は当時の階級社会では決して許されない禁じられた恋なのであった…という感じの作品です。

さてエマの英語版ですが、 2006年から2009年にかけて CMX から全10巻が発売されたものの、その後の CMX の事業撤退によって絶版となってしまい、ずっと入手困難な状況が続いていました。しかしこの度、北米の翻訳漫画出版社大手の Yen Press が新たにライセンスを取得し、2015年5月からなんとハードカバーでエマの英語版を発売する事が決定しました。

ハードカバーだけあって1冊のお値段は少し高いですが、同じく Yen Press から発売されている 乙嫁語り森薫拾遺集 もハードカバーである事から推測すると、Yen Press 及び海外のファンがそれだけ森氏の作品と画力を高く評価しているというある種の証明なのだと思います。またこのハードカバー版はページ数からいって2巻分を1冊に収録した全5巻で発売されると予想されますので、ペーパーバック版と比較して高すぎるという訳でもありません。これからエマの英語版を購入される方は、Yen Press版を買われた方が良いでしょう。

またアメリカのAmazonのレビューではこの作品に対して以下のような感想が寄せられています。

N. S. Michael:☆☆☆☆☆
“丁寧に描かれた卓越した時代ドラマ”

このエマという作品は、すでにご存知かも知れないが、ヴィクトリア朝時代のイギリスの若いメイドと、裕福な貿易商の跡取りとして将来を嘱望される若い紳士との禁じられた恋を描いた物語です。

第1巻では全52話のうち初めの7話までが収録されており、物語の基本設定が語られます。内気だけど優しく聡明なエマ、エキゾチックな王子様のハキム、上品なストウナー夫人、そしておっちょこちょいだけど情熱的な若き紳士のウィリアム・ジョーンズを始め他にも色々な人物が登場します。

全ての登場人物は、メインキャラであろうとサブキャラであろうと必ずその登場に意味があり、作品を通して繰り返し登場します。全ての登場人物には存在意義があります。例えば当時の時代背景を読者に説明するためであったり、あるいは物語の展開を重要な登場人物や読者に理解させるために登場します。この点について私は作者である森氏に賞賛を惜しみません。

作画も卓越しており、細部にわたって緻密に描かれています。森氏の描く絵には登場人物に気品を与える何かがあります。またエマやエレノアは作中で「美人」とされていますが、他の漫画でよく描かれる様な美人とは少し違った描かれ方をしています。むしろ異質と言っても良いでしょう。しかしそんな彼女達の持つ精神、雰囲気、そして衣装によって読者は彼女達を美人と認識せざるを得ないのです。

物語のテンポはこの手のラブロマンスにぴったりとマッチしており、ゆっくり丁寧に進んで行きます。二人の関係の些細な変化さえ描かれており、読者はまるでストウナー夫人と一緒に二人の恋を見守っているかの様な気分になる事でしょう。

~中略~

結論として、私はこの作品の購入をおすすめします。それほど長い作品でもないので、全巻購入しても大きな出費ではありませんし、何よりそれだけの価値がこの作品にはあります。エマは文学の名に値する数少ない漫画作品の一つです。シンプルに言うなら、物語も登場人物も作画もとんでもなく素晴らしいのです。

文学オタク:☆☆☆☆☆
“ハートウォーミング、そして驚くほど描写が正確”

私の専攻は英文学なので、ジェーン・オースティンやチャールズ・ディケンズと言った巨匠の作品をかなりたくさん読んでます。正直に言うと別に好きで読んでいる訳ではなく(ディケンズの “大いなる遺産” は面白かったです)、まだ私が未熟なのか、宿題を嫌々こなす様に必要に迫られて仕方なく読んでいるという感じでした。

そんな時、私は書棚に腰掛けながらエマを読んで、文学オタクとしての自分が呼び覚まされるのを感じました。エマの描写は驚くほどに正確で、一度心をつかまれてしまったら二度と忘れる事はできません! この手の作品は下手をしたらつまらない漫画になってもおかしくないのに、逆にとても面白い漫画に仕上がっています。あなたは登場人物に共感し、彼らに幸せになって欲しいと思う事でしょう。

漫画オタクとしては、大勢の美少女が一人の退屈な男子を追いかけるハーレム作品に飽き飽きしていたので、エマは本当に新鮮な驚きを持って読む事ができました! 私は基本的にはラブロマンスよりアクションやファンタジー作品の方が好きなのですが、魔法少女が悪の女王と戦うありがちな作品よりも、社会の慣習と戦うエマの物語の方がずっと面白かったです。

エマのおかげで、私はジェーン・オースティンを始め、英文学の巨匠達の作品を以前に増して興味を持って読む事ができる様になりました。


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