月刊IKKIで連載されていた、鬼頭莫宏によるぼくらのの英語版コミックです。全11巻。またぼくらのの北米版アニメDVDもあります(※リージョンコードに注意)。
英語版の完全なタイトルは、”Bokurano : Ours” です。
鬼頭氏の描く漫画は絶望的な気分にさせられる作品が多いですね。意味も解らず命をかけた戦いを強いられる、少年少女たち。かといってそれまでの日常も決して幸せなものだったとは言えず、理不尽な日常からさらに理不尽な非日常に翻弄されてしまう。それまでの日常で支配の象徴だった大人達も、より大きな力の前に無力さをさらけだすが、子供達がそれで自由になるわけでもない。ひょっとしたらこの漫画家さんは、実はかなり人間が大嫌いか、人間を愛しすぎてしょうがない人なんじゃないですかね。いずれにせよ、人間という存在について常人よりも多くの事を考えている人のような気がします。
というわけでこの作品は、少年少女が困難に打ち勝つようなカタルシスを感じられる作品ではありません。終盤にちょっとそんな要素が無いわけでもないですが、そういうのを期待するなら天元突破グレンラガンあたりを読んだ方が良いでしょう。しかし時にはこういう作品を読みたくなる場合もあります。むしろこういう作品を描く漫画家さんは貴重だと思いますので、今後もこの路線を追い求めていって欲しいと思います。