テレビドラマ化され舞台にまでなった原作 大塚英志、作画 田島昭宇による多重人格探偵サイコ MPD PSYCHOの英語版コミックです。
英語版のタイトルにもなっている副題である MPD PSYCHO の MPD は、Multiple Personality Detective の略みたいですね。多重人格探偵をそのまま英語に訳した感じですが、細かなことを言うと現在では “多重人格 / multiple personality” という言葉は使われませんね。医学用語では病理の概念により正確な “解離性同一性障害 / dissociative identity disorder” と表現されます。しかし “解離性同一性障害探偵サイコ” ではなんとなくかっこ悪いような気もしますから、ここはやはり多重人格探偵の方が良いでしょう。
さてこの作品の面白いところはタイトルそのまま、事件の謎を解く探偵役の主人公が多重人格ということです。ミステリー小説などでは精神的な障害をもった主人公を採用することによって、わざと読者の推理をミスリードさせる手法がよく使われますが、それに近い描写が多くあります。また主人公だけでなく、登場する犯人たちも精神を病んだ猟奇的な快楽殺人者ばかりなので、どうしてもグロテスクな描写が多くなります。この辺のサスペンスを面白いと思える人には、かなりハマれる名作だと思います。