少女漫画」カテゴリーアーカイブ

聖伝 RG Veda

月刊ウィングスで連載されていた、インドの古代神話リグヴェーダを題材にしたCLAMPの聖伝の英語版コミックです。全10巻。

聖伝 RG Veda 英語版コミック

聖伝 日本語オリジナル版

聖伝 英語版

リグヴェーダを題材にしているといっても、オリジナルを知っている日本人はほとんどいないでしょう。私も読んだ事はありません。しかし阿修羅や帝釈天など後に仏教に取り入れられた神々が登場するので、不思議と親近感みたいなものは感じますね。

ところでリグヴェーダ発祥の地であるインドの人々は、この作品に対してどういう感想を持つのか気になる所です。漫画が英訳されていると言っても販売されているのは主に北米ですから、インドではあまり有名では無いかもしれません。ただ日本人でも日本の神話を書物で読んだ事はなく概要だけしか知らないという人も多いので、もしかしたらこの作品を読んで「こんなものか」と思ってしまう方も多いかも知れませんね。そう思うと、俄然オリジナルのリグヴェーダを読んでみたくなってきました。機会があれば図書館で訳本を探してみたいと思います。

CIPHER サイファ

LaLaで連載されていた成田美名子氏によるCIPHER(サイファ)の英語版コミックです。懐かしいと思われる方も多いのではないでしょうか、全12巻。

CIPHER サイファ 英語版コミック

CIPHER 日本語オリジナル版

CIPHER 英語版

少年漫画の女の子はおとなしい子が多いですが、少女漫画の女の子は行動的な明るい子が多いですね。どちらも主役が行動的な性格が多いのは共通していますが、たぶん自分の理想をかけあわせるからでしょう。この作品のアニスも周りがびっくりするくらいの行動力です。他のキャラクター達は心に傷を負っている人間がほとんどなので、普通ならばあまり踏み込んではいけないと躊躇する所です。しかしアニスは元来の屈託のなさで、ある意味力技で人の心の入り込んで無理やり場を明るくしてしまいます。それが彼女の持ち味なのですが、終盤になると精神的に大人になりかけのアニスも他者の心の傷に気がつくようになり、自分も葛藤するようになります。その辺の成長の過程が実に上手く描けている作品だと思います。成長して強くなるのは、多くの痛みを知って乗り越えるからだと、作者は訴えているような気がします。

彼氏彼女の事情 Kare Kano

海外で人気の漫画といえば、やはりジャンプをはじめとした少年漫画ですが、その中にあって人気の高い少女漫画が津田雅美による、この彼氏彼女の事情です。略称であるカレカノが英訳タイトルになってますね。全21巻。また彼氏彼女の事情の北米版アニメDVDもあります(※リージョンコードに注意)。

彼氏彼女の事情 Kare Kano 英語版コミック

彼氏彼女の事情 日本語オリジナル版

彼氏彼女の事情 英語版

さて上記にあるとおり、この作品は少女漫画の中でも海外での人気が高い作品です。アニメが全26話という、他の人気作品に比べれば短い話数ながらもそれだけの評価を得ているのは珍しいといっていいでしょう。ちなみにアニメ版の監督は新世紀エヴァンゲリオンで有名となった庵野秀明監督が担当しています。彼氏彼女の事情のアニメが放映されたのが、エヴァのテレビ放送が終わって劇場版が社会現象を起こしていた時期ですから、おそらく監督のネームバリューで興味を持った人がこの作品を見てファンとなり、口コミで人気が広まっていったんじゃないかと思われます。

なお英語版漫画のタイトルは上記の通り “Kare Kano” ですが、アニメ版のタイトルは、”His and Her Circumstances” と “Tales at North Hills High” という二種類のタイトルで放映されています。

LOVELESS ラブレス

コミックZERO-SUMにて連載中の、高河ゆんによるLOVELESS(ラブレス)の英語版コミックです。

LOVELESS ラブレス 英語版コミック

LOVELESS 日本語オリジナル版

LOVELESS 英語版

日本の漫画の素晴らしさは、ドラマや映画ではありえない様な設定や世界観が何の違和感もなく成立してしまう所だと思います。ネコ耳や尻尾の生えた少年少女なんていう「ありえない」設定が、漫画やアニメではまったく普通の事として受け入れられてしまいます。そしてそういう普通ではありえない独特の世界を生み出した作品ほど、ファンの間では名作として名を残すのだと思います。

そういう意味ではお伽噺とかと似ている所があるかも知れませんね。日常を抜け出し非日常を味わうためのストーリー、教育的な意味づけは後世の都合で成されたもので、本来は純粋な娯楽として語り継がれていたに違いありません。この作品はそういう要素に溢れています。

海外での評価はどうだったんでしょうか、しかし日常の中に非日常を味わえるストーリーを求める人々がいる限り、この作品は愛されるに違いありません。

Banana Fish バナナフィッシュ

今でも熱烈なファンは少なくないのではないでしょうか?吉田秋生によるBanana Fish(バナナフィッシュ)の英語版コミックです。全19巻。

Banana Fish バナナフィッシュ 英語版コミック

Banana Fish 日本語オリジナル版

Banana Fish 英語版

懐かしいですね。私の場合は姉が単行本を持っていたので読ませてもらっていました。その後自分で単行本を揃えて、友人にも貸して友達の間でも人気となったのを覚えています。ハリウッド映画の様な雰囲気とストーリー展開が男友達にもウケたんだと思います。少し同性愛っぽい描写もありますが、それほど露骨でないのであまり気になりませんでした。個人的な感想ですが、少女漫画というよりAKIRAの作者である大友克洋氏の作風に似ている様な気がします。

と思って調べたら、吉田秋生氏は明らかに大友克洋氏に影響を受けているみたいです。もう一つの代表作の 吉祥天女 には、大友克洋氏に対するオマージュが溢れかえっているそうです。私はこれまでバナナフィッシュしか読んだ事なかったので「似てるな」ぐらいにしか思ってなかったのですが、早速吉祥天女も読んでみたいと思います。

BASARA バサラ

少女コミックでありながら架空戦記ものという異色のストーリーで非常に高い評価を受けアニメ化もされた、田村由美によるBASARAの英語版コミックです。全27巻。

BASARA バサラ 英語版コミック

BASARA 日本語オリジナル版

BASARA 英語版

上述の通り少女コミックでありながら架空戦記ものというある種冒険的な試みが功を奏して人気となりました。終盤の方では更紗と朱理の恋愛と葛藤を描いて少女コミックらしいストーリーも展開させるなど、少年コミックの戦記ものとの差別化もきちんとされています。

個人的に最も冒険したなあと思われるのは、主人公の思い人である朱理をつるっつるのハゲ頭にした事です。おそらくは赤の王としてのこれまでの残虐な行いを反省するためにハゲ頭にしたのでしょうが、少女マンガでこれをやるのは相当冒険だったのではないでしょか、よく編集さんがOKを出しましたね。普通に考えれば大勢の命を奪った罪がハゲ頭にしたくらいで許されるとは到底思えませんが、重い十字架をずっと背負わせていくとハッピーエンドにはなり得ませんので苦渋の決断だったのでしょう。