川原礫によるライトノベル作品 絶対ナル孤独者(ぜったいナルアイソレータ) の英語版ライトノベルです。
2019年8月、地球上のいくつかの都市部に地球外から複数の有機生命体が落下した。後に「サードアイ」と呼ばれる事になるその球体は、寄生した人間に現代科学では解明できない特殊な能力を与え、特に赤い核を持った「ルビーアイ」は能力と共に殺人衝動も与えるものだった。過去に起きた事件により孤独を何よりも重んずるようになり、人との関わりを極力拒む生活をしていた高校生のミノルもまたサードアイと接触し能力を得る。ミノルがただひとつ望み、そして得た能力は「孤独」。絶対的な孤独を実現する力を得てミノルは、しかし望まぬ戦いに巻き込まれていくのだった…という感じの作品です。
英語版ライトノベルは北米の翻訳漫画出版大手の Yen Press(Yen On) より第1巻がなんとハードカバーで発売されたばかりです。2巻以降の発売予定や、越水ナオキの作画で月刊コミック電撃大王にて連載中の漫画版の英語版が発売されるかどうかはまだ未定ですが、購入時にはよく確認する様にしてください。
またアメリカのAmazonのレビューではこの作品に対して以下のような感想が寄せられています。
Tristan A. Hayes:☆☆☆☆☆
“川原礫の新たな名作文学”川原礫はまるで物語を書くために作られた機械の様な人だ。この作品を読む前の私は、川原礫のこれまでの2作品と似た様な物語を再び読む事になるのではないかと多少の躊躇がありましたが、この予想は間違いでした。絶対ナル孤独者はソードアートオンラインとは全く違う物語です。強いて過去の作品との共通点を挙げるとしたら、アクセルワールドでバーストリンカーの操るアバターがプレイヤーの潜在意識を反映したものであるのと同じく、サードアイの発現する能力が所有者の人格を反映したものであるという事です。それ以外については、今作はこれまでの作品のように MMORPG の世界が舞台ではありませんし、遠い未来の物語でもありません。
本当に面白く読む事ができました。実際、私はこの作品にすっかりハマってしまい、2日で約100ページという私にしてはかなり早いペースで読み終えてしまいました。AWを読んだ時はもう少しゆっくりだった気がします。
~中略~
挿入されるイラストとキャラクターデザインも素晴らしく、私のお気に入りはDDです。翻訳のクオリティにも特に問題点はありません。川原礫によるあとがきも翻訳されています。これと冒頭のカラーページを抜かすと他にボーナスページはありません。ペーパーバックではなくハードカバーで発売された点については感銘を受けました。
唯一不満な点は、第2巻が発売されるのか、継続して物語が続いていくのか作者本人が確信を持てていない所でしょうか。この本がたくさん売れて、ぜひ出版社に続巻を発売してもらいたいと思います。川原礫は年間6冊という執筆ペースを維持したい様ですから、AWやSAOみたいな早いペースで執筆される事はないと思いますけどね。
David Reagan:☆☆☆☆☆
“面白いストーリーで読みごたえ充分”異能バトル系が好きな人は、この作品も楽しめると思います。川原礫は本当に優れた作家です。私はクランチロールでアニメを見てからずっとソードアートオンラインの大ファンで、そちらの英語版ライトノベルも常に発売前に予約注文して購入しています。同じ作者によるアクセルワールドも素晴らしいですが、この絶対ナル孤独者もまた新たな名作誕生の予感がします。これでクランチロールのアニメの様に、日本語版と同時に英語版ライトノベルが発売される様になってくれると後はもう何も言う事はないのですが…。
SAOやAWでの登場人物達の描かれ方を考えるに、この作品で川原礫が登場人物達をどの様に描くのか続きを読むのが待ち遠しいです。そしてもちろん、「サードアイ」に関する情報ももっと知りたいです…。
とにかく、面白いストーリーで読みごたえは充分です。